インフォメーション

絶滅の恐れのあるウナギ

ウナギ

二ホンウナギは絶滅危惧種に指定され、今後規制対象となり、シラスウナギ(ウナギの稚魚)も製品も輸出入が難化し、日本の食卓にも大きな影響が出る可能性があります。ウナギとはどのような生物でどのような現状があるのかについて迫ります。


ニホンウナギとは?

世界各地に19種類のウナギが確認されています。そのうち、日本で流通しているウナギはニホンウナギを含めヨーロッパウナギ、アメリカウナギ、ビカ―ラウナギの4種。いずれも絶滅危惧種に指定されています。
 ニホンウナギは、5~15年間、河川や河口域で生活した後、海へ下り、日本から約2,000Km離れたマリアナ諸島付近の海域で産卵します。産卵場が特定されたのは、平成23年2月であり、依然として生態に不明な点が多くあります。ウナギは甲殻類や小魚を食べるなど食物連鎖における上位に位置します。日本在来の魚食魚の種類は少ないので、ウナギは水域生態系において重要な機能を持つ鍵となる生物ではないかと考えられています。


ニホンウナギの今後

国際自然保護連合(IUCN)は2014年6月、ニホンウナギを絶滅危惧1B類として「レッドリスト(正式名称:絶滅のおそれのある種のレッドリスト」に掲載しました。(※図1)レッドリストに法的な拘束力はありませんが、希少な野生動植物の国際取引を規制する「ワシントン条約締約国際会議」で、参考にされる可能性が高いです。2019年のワシントン条約締約国会議では、日本で大量に消費されているニホンウナギが規制対象となる懸念されています。ニホンウナギの大半は、天然のシラスウナギを採捕して育てたものであり、ワシントン条約の規制対象となれば、稚魚も製品も輸出入が難しくなり、日本の食卓に影響が出ます。

ニホンウナギの採捕量

冬季に日本各地の河口域に入ってきたシラスウナギはシラス漁業により採取されます。シラスウナギの採捕量は、平成22年漁期~平成24年漁期の3漁期連続して不漁となり、池入れ量が大きく減少しました。平成26年漁期の漁模様がやや良好でありましたが、ニホンウナギの資源が回復したと判断すべきではなく、引き続き、資源管理や生息環境の改善の取組を進めることが必要です。シラスウナギの国内採捕量には年変動があり、不足は輸入で補っています。平成24年漁期及び平成25年漁期はニホンを含む東アジア全域でシラスウナギの採捕量が減少したため、池入数量が大幅に減少し、取引価格は高騰しました。(※図2)
 このようなことから、今後ともニホンウナギを利用する日本、中国、韓国、台湾間で取り決めた池入れ量の制限を適切に実施するとともに、シラスウナギ採捕、ウナギ漁業についても、資源管理の対策が一層進むよう対応を推進しています。

ウナギの減少の原因

 ウナギの減少要因として、海洋環境の変動、ウナギやシラスウナギの過剰な採捕、生息環境の悪化が指摘されています。また、河川では流路を遮断する河口堰やダムなどの人工構造物が設置されるとウナギの移動ができなくなります。このような場所では水質が悪化し、餌生物が減少することも指摘されています。

ウナギの資源管理

ウナギについては、生態に不明な点が多いものの、減少要因を改善するために実行可能な対策を総合的に実施されています。
 シラスウナギは、どこで誰が採捕し、それが誰に売られたとしても、最終的には全て養鰻業者の養殖池に入れられます。このため、養鰻業者の池入数量をしっかりと管理することによって、ニホンウナギの資源管理をしています。一方、採捕許可を出したり、出荷先の制限をしたりしている都道府県知事としては、採捕量や採捕から池入れまでの流通の状況を正しく把握する努力が求められるところです。
 このため、水産庁では、平成28年秋から都道府県知事によるシラスウナギの特別採捕許可において、
【1】密漁対策を含めた現場での監視や確認の強化のための写真付き証明書の発行、ワッペンや帽子等の着用の義務化
【2】適切な採捕数量の報告を徹底させるための許可取り消し等の未報告者への処分の強化
などの対策を講じるよう都道府県に助言しています。

 河川と湖沼におけるウナギ採捕量は40年間にわたりいずれも減少を続けています。ウナギの生息数の動向が採捕量に正確に反映されるかどうかは分かりません。しかし、ウナギ漁業の実態や天然ウナギが高価であることなどを考慮すると、採捕量と同じく生息数も減少傾向にあるのではないかと考えられます。

国際自然保護連合レッドリストの分類とシラスウナギ採捕量の推移

ウナギの名産地である静岡県でのウナギの現状や問題にはどのようなことがあるのでしょうか。特特集2で「静岡うなぎ漁業協同組合」様に取材してまいりました。

「静岡うなぎ漁業協同組合」による「ウナギといえば静岡」を取り戻すためにウナギを守る取組

ウナギ


古くから静岡でウナギを取り扱う「静岡うなぎ漁業協同組合」様に名産地である静岡県でのウナギの現状や問題にはどのようなことがあるのか伺ってまいりました。

静岡うなぎ漁業協同組合 総務部 部長 工藤裕和さん


Q静岡うなぎ漁業協同組合では何をしている?

工藤:当組合では、養殖されたウナギの加工、販売をしています。焼津養鰻漁業協同組合、大井川養殖漁業協同組合、丸榛吉田うなぎ漁業協同組合、中遠養鰻漁業協同組合浜4つの組合が合併してできています。組合を経由しているものは、主に地元で採捕された正しく申告したシラスウナギを取り扱っています。静岡県では当組合と浜名湖養魚漁業協同組合に属している生産者だけがシラスウナギを養殖生産用種苗として供給できるように県より許可を得ています。
 当組合では、日本では唯一ウナギを浸場で一昼夜地下水に浸して、泥吐きをしています。このことにより、泥臭やカビ臭のしないウナギになっています。また、当工場ではウナギをしっかり焼いて生臭さを消したおいしいウナギを生産しております。

Qこの地域はなぜウナギが盛んなのか?

工藤:ウナギの生産量は現在、鹿児島・愛知・宮崎・静岡と静岡県は4位です。昭和52年頃までは、静岡県がうなぎの生産高1位を誇っており、吉田町は、一面池に囲まれ、ウナギの養殖が盛んでした。その理由は、この地域でシラスウナギが昔からたくさん採れることにあります。また、大井川水系の地下水に恵まれ、いい水が豊富にあることが挙げられます。さらに、焼津という巨大な漁業基地があり、魚の頭や商品にならない雑魚が出るため、新鮮ないい餌を与えられた事で、ウナギ養殖が盛んになりました。

Qなぜ静岡での生産が減った?

工藤:昭和45年頃に原因不明のえら腎炎が大流行し、数多くの池でウナギが全滅しました。そのため、ウナギの養殖が難しくなり、ウナギの育成に見切りをつけて池を埋めてしまう人も出てきました。ピーク時は吉田町で420軒、大井川町で100軒ほど生産者がいましたが、現在では日本国内全体を見ても生産者は500軒程になります。こういったリスクを分散させる為に、広い池に壁を設けて区分けしたり、ハウス池といってビニールハウスのように池を覆ったり対策を行っています。

Q環境の変化がウナギに影響を与えている?

工藤:天然のウナギは河川に生息しています。河川では、水害が起こらないようにコンクリ―トを固めていることがウナギの住みにくい環境を作っています。また、河川の水量が減っていることからウナギが隠れられず、上空から鳥に捕らえられ、食べられてしまうことも大きく関わっていると思います。また、水が少なくなり、水の流れが悪くなった結果、酸素が減少してウナギが生き延びられなくなってしまっています。

Qウナギを守るためにどのような対策をしている?

工藤:これらの対策として、川にウナギの隠れ家となる石蔵かごをいろんな地域で設置しています。定期的にモニタリングしており、ウナギが定着していることがわかっています。
 今、販売を目的とするウナギの養殖は、誰もがやれるわけではなく農林水産大臣の許可がなければできません。また、シラスウナギを池に入れる量の上限を設けて資源管理をしています。ウナギ資源の持続的利用を確保していくため、静岡県は生産量を33%も落としているのです。
 ウナギが減少しているなら食べなければいいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうするとウナギを調理する技術者も生産者もいなくなります。後世にウナギの文化が続かなくなってしまいます。そうならないためには、採る量を減らしながら生産していくことが大事になります。しかしまだウナギには謎が多く、実際に採捕量を減らしたり、放流をしたりすることによりウナギが増えているのか分かっていませんが、ここ3年くらいの静岡ではそこそこウナギが採れ、順調です。

Qワシントン条約で規制がかかるとどうなるのか?

工藤:次回のワシントン条約でシラスウナギの輸入に規制がかかってしまうと国内で採れたものを国内でしか流通できなくなり限られた人にしか行き渡らなくなってしまいます。これを回避することは重要になってきます。しかし仮に規制がかかったとしても、輸入に頼らずに静岡では稚魚がたくさん採れます。静岡はウナギの創業の地であり、昔のように「ウナギの産地といえば、静岡。」というイメージがまたクローズアップされて、根付くのではないかとポジティブに考えています。

(敬称略)

浸け場、大きさの選別、最盛期の養鰻場

(取材者:平成28年入社 総務部広報担当 日高)

手つかずで捨てられる「食品ロス」

食品廃棄物


食品ロスの現状

日本国内における年間の食品廃棄量は、食料消費全体の3割にあたる約2,800万トンです。このうち、売れ残りや期限を超えた食品、食べ残しなど、本来食べられたはずの、いわゆる「食品ロス」は約632万トンとされています。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量(平成26年で年間約320万トン)を大きく上回る量です。また、日本人1人当たりに換算すると、“お茶碗約1杯分(約136g)の食べ物”が毎日捨てられている計算となります。国連食糧農業機関からも「食品ロスの低減は、最も重要な優先事項である」と警告されています。


日本の自給率

日本は、餌になる穀物(トウモロコシなど)や肉そのものも海外から大量に輸入しています。これだけ輸入に頼っていると、仮に地球温暖化の影響などで世界的な不作となり、各国が食料安全保障上の観点から日本への輸出を絞れば、日本で大量の餓死者が出るかもしれません。ほぼ国内で食料自給ができていた江戸時代の総人口は約3,000万人です。今は生産性が2倍になっていると楽観的に想像しても、日本の人口が1.27億人(2016年)となると、約6,000万人分の食料が足りないということになります。現段階で日本のこどもの貧困率は13.9%(2015年)と、7人に1人の子どもが経済的に厳しい家庭で育っています。

食品ロスの発生源

なぜ食品ロスが発生するのでしょうか。廃棄量の内訳は事業系が715万トン、家庭系が1014万トンです。家庭においても食品ロス全体の約半数にあたる年間約302万トンが発生しています。食品を食べずに捨てた理由として多いのは、「鮮度の低下、腐敗、カビの発生」 「消費期限・賞味期限が過ぎた」などが挙げられています。家庭から出される生ごみの中には、手つかずの食品が2割もあり、さらにそのうちの4分の1は賞味期限前にもかかわらず捨てられているものです。(※図1)

賞味期限とは?

食品ロスの削減の工夫としては、「賞味期限」と「消費期限」の違いを知っておくことは大切になります。「賞味期限」はカップめん、冷凍食品、菓子など保存しやすい食品に定められる「食品をおいしく食べられる期限」のことです。ゆえに、「賞味期限」を過ぎても食べられます。それに対して「消費期限」は「食品を安全に食べられる期限」で、生菓子やコンビニ弁当など保存に適さない食品に定められています。

3分の1ルール

賞味期限の長い商品を棚の奥から引っ張り出す消費者の行動が食品業界に「3分の1ルール」(1990年代~)という独特な商慣習を生んでいます。これは、製造から賞味期限までの期間のうち、最初の3分の1の期間までしか小売店は受け付けず、賞味期限までの残り3分の1の期間を過ぎたら、店頭から撤去されるというルールです。
 たとえば1月1日を製造日とすると、そこから6ヶ月(6月30日)を賞味期限とします。そうすると、(※図2)のような「3分の1ルール」が生じます。 「“賞味期限切れ”の無駄」を指す場合、多くが「ロス発生4」を指します。しかし実態は、賞味期限内のロス発生1・2・3も存在しており、これらも非常に目立ちます。特に「ロス発生1」は多く発生しています。メーカーや卸売業者に返品された賞味期限内の食品は、もはや正規のルートでさばけず、結局廃棄されてしまうケースも多くあります。
 また、隠れた「ロス0」もあります。小売りからの要望があれば、メーカーや卸売業者は即応しなければならなりません。そのため、需要を予測してやや多めに生産します。しかし、需要予測は必ず当たるとは限らず、注文に達しないで、メーカーや卸売業者に止まったまま、永久に店へ出ない食品もあるのです。

手つかずで廃棄された食品の内訳と3分の1ルール

わたしたちが認識すべきこと

    • 世界の食糧援助量の約2倍をロスしているという事実を知る
    • 消費者は新しい賞味期限を追求せず、今すぐ食べるならば期限が早いものを選ぶ
    • 「賞味」はあくまでも「おいしく食べられる期限」であり、1日過ぎたからといってハムや牛乳が突然不味くはならない
    • 一番身近な小売り(お店)が 食品ロスを減らすための啓発活動の先頭に立つ


 食品ロスを少しでも減らすためにこれらを認識し、行動に移すことが大事です。この他にも、暮らしの中でわたしたちができる食品ロスを減らすための取り組みがあります。

静岡県では、食品ロス削減に向けて県民や事業者に意識啓発をするためにどのような活動が行われているのかでしょうか。特集2で「認定NPO法人フードバンクふじのくに」様に取材してまいりました。

「認定NPO法人フードバンクふじのくに」による   食品ロスを減らし困った人に食料を提供する取り組み

食品寄贈


日本には、明日の食にも事欠く人々がいます。その方々を食の面から支援する「認定NPO法人フードバンクふじのくに」は静岡でどのような活動をしているのでしょうか。

アドバイザー木下達夫さんとスタッフ金澤一輝さん


Qフードバンクの始まりは?

木下:食品ロスの問題と明日食べるものがないという生活困窮問題を接点として、食べられるにもかかわらず捨てられる食料を困っている人たちに提供していくため、2009年に静岡県労働者福祉協議会でフードバンクの研究会を立ち上げました。
 研究会には県内諸団体に参加いただき、協議を重ね2014年5月任意団体として活動を開始し、同年10月にはNPO法人の認証を受けました。そして今年3月静岡市より認定NPO法人の認定を受けるまでに至っています。

Qフードバンクふじのくにとは?

木下:フードバンクは、何らかの理由で生活困窮になった人たちへ食料を提供するため、個人や企業から食料を寄贈していただき求めに応じていく活動です。
 食料提供は、県内自治体や社会福祉協議会さらには福祉施設を通じて届けられています。
 このようにフードバンクの活動は、食料支援を通じて社会のセーフティーネットに貢献するところまで発展しつつあります。

Qどのような食料を受け取っている?

金澤:個人からは家庭で眠っている食料、食品企業からは外箱のつぶれや破損、生産過剰品、一般企業や自治体からは期限が迫ってきた防災備蓄品等、スーパーからはお客さんから募った食料等、農家からは古米など、「まだまだ安全に食べられ、捨てられてしまうであろう食料」です。

Qどのように食料は配布される?

金澤:何らかの理由で生活困窮になった人たちが自治体や社会福祉協議会等の相談窓口等に相談にいき、食料支援が必要と判断された場合、相談窓口等から当法人まで依頼が来ます。依頼を受ける際は、家族構成や健康状態等を確認し、それに基づいて食料を選択し、相談窓口等を通じて届けられています。食料の提供は原則3回区切りとなっており、給料日や福祉的支援を受けるまでの間をつなぐ緊急的な支援として利用されています。

Q気を付けていることは?

金澤:食の安全には気を付けています。寄贈された食料は、必ず目視による品質および賞味期限のチェックをして保管します。そして自治体等へ渡される際には出所の理解と転売しない・賞味期限内に使用する等適切な食料利用の規約をまとめた「配達記録書」を発行します。本書類にはどこから来た食料がどのくらいの量渡っているかが書かれており、食料に問題があった際にトレーサビリティを確保できます。
 また、万が一フードバンク活動を行う上で事故や怪我等が生じた時に適切に対応ができるように保険に加入しております。

Q食料の提供のメリットは?

金澤:そのままでは廃棄せざるを得ない食料が有効に活用でき、食品ロスの削減につながります。
 また、最近ではフードバンクの取組を企業のCSRとして取り入れイメージアップにつながる事例も出てきました。

Q現在の課題は?

木下:現段階では、県内のどこでも支援が受けられるように体制の整った拠点を持つことです。そのためには、自治体や社会福祉協議会との連携強化や市民に活動への理解をしていただくことが重要になります。こちらの誌面をお読みいただいた皆さんにも、ご協力いただければありがたいと思います。

Qわたしたちにできることは?

木下:事業の性質上収益が生まれるものではなく、運営費確保のため寄付が必要になります。そのほか食料の仕分けや運搬などのボランティア、賛助会員となって会費を納入いただく支援方法があります。
 詳細については、お手数おかけしますが、フードバンクふじのくにTEL:054-248-6177までお問い合わせください。        (敬称略)

食料保管倉庫、フードドライブ、利用者様からのお声

(取材者:平成28年入社 総務部広報担当 日高)

「環境の日」~世界の取り組み~

森林

6月5日は、「環境の日」です。「環境の日」には、どのようなことが行われたのでしょうか。そして私たちが考え、取り組むべきこととは何なのか。各地で行われた取り組みに迫ります。

環境の日及び環境月間とは

「環境の日」とは、昭和47年6月5日からストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念して定められたものです。国連では、日本の提案を受けて6月5日を「世界環境デー」と定めており、日本では「環境基本法」(平成5年)が「環境の日」を定めています。今年度は、低炭素社会・自然共生社会・循環型社会の形成と安心・安全の確保に向けた取組、東日本大震災・熊本地震からの復興・創生を推進します。平成3年度から6月の1ヶ月間を「環境月間」としており、6月中は、関係府省庁や地方公共団体などにより全国で様々な行事が行われました。関係府省庁・都道府県・政令指定都市・ 東京23区が実施する各種行事は、各府省(15省庁)352件、都道府県(47都道府県)740件、政令指定都市(20都市)242件、東京23区57件、合計1,430件です。(※図1) 

環境月間主な県別関連行事(※図1)

エコライフ・フェア2017

エコライフ・フェアは、毎年6月の環境月間に全国各地で展開される様々な行事の中の主たる行事の一つとして、平成2年以来、環境省、関係地方公共団体、関連法人、団体、企業、NGO 等が連携し、環境保全全般にわたる普及啓発活動を実施してきました。環境の一大イベントとして人気が高く、毎年7万人近い人が訪れます。今年は6月3日(土)及び4日(日)に、東京・渋谷の代々木公園で開催しました。「パリ協定発効!キミの「賢い選択」が地球の未来を切り拓く!! 」をテーマに、多彩なイベントが実施され、大勢の人でにぎわった2日間でした。ステージでは、山本公一環境大臣と“小型家電リサイクル応援マネジャー”を務める女優の芳根京子さんが、使用済み携帯電話などの小型家電から金銀銅などを回収し、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のメダルを作る「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」についてトークを行いました。また、東北の魅力発信!ご当地キャラとのクイズ大会やトヨタ自動車株式会社の新型プリウスPHVの展示など、環境について楽しみながら学び、体験できるブースも開かれました。その他の県でも、県特有の自然の恵みの価値を体験するエコツーリズムのイベントや田植え体験、不法投棄監視パトロールを実施するなど様々な取り組みが行われました。

世界が全体が動く 「世界環境デー」

世界各国でも、6月5日に環境保全の重要性を認識し、行動契機とするために様々な行事が行われています。World Environment Dayのサイトでは、国立公園や秘境の地など環境に関わるお気に入りの写真やビデオを自分自身の思い出をふまえて共有したり、(iNaturalist app)をダウンロードし、自分の裏庭で見つけた生物を撮影して所見を記録したりするだけで貴重な野生生物の追跡を助けるなどのイベントが掲載されています。また、今自分が気になっていることを他の人たちも簡単に関与できるイベントとして自発的に登録することもできます。

わたしたちがすべきこと

このように、環境の日や環境基本法、自然再生推進法等の自然保護活動を目的とした日や法律が定められています。(※図2)時代の流れによってまだまだ課題がありますが、この日に少し考えてみたり意識したりすることでも、環境をより良くすることができると思います。環境への配慮は国民の義務ではないものの、それに近い「責務」として位置づけられています。環境基本法は、国民に日常生活の中で環境への負荷の低減に自ら努めることを求めるとともに、国や地方自治体が実施する環境保全のための施策に協力すべきであるとしています。循環型社会や低炭素社会を実現するには、一人ひとりが環境に配慮した暮らしや活動を心掛ける必要があります。「環境の日」に限らず、環境によいことを進んで実践することが大切です。

環境の法律(※図2)

私たちの身近なところでは、環境の日や環境月間にどのような取り組みを行っているのでしょうか。特集2に環境日本一を目指す藤枝市の取り組みについて取材してきました。

市民・事業者・行政のチカラを結集して”環境日本一”を目指す藤枝市

藤枝市 環境水道部 環境政策課 環境政策担当係長 大塚拡さん

藤枝市は、“もったいない”をキーワードに誰もが環境問題に「気付き」「学び」「行動」をする“環境日本一”を目指しています。特に、6月の「環境月間」及び12月の「“もったいない”運動推進月間」には、この取組を強化しています。


Q環境日本一を目指しているのはなぜ?

大塚:藤枝市では、生活の基盤に直結する4つのK(「健康」「教育」「環境」「危機管理」)の日本一を目指した取組に力を入れています。
「環境」については、先人の知恵である“もったいない”の精神に学び、無駄の多い暮らし方を見直し、かけがえのない環境をより良いものとして次の世代に伝えることが、市民の安心安全な暮らしにつながります。
 藤枝市は、環境を守ることへ高い意識を持つ市民・事業者・行政が協力して、21種類ものごみの分別収集や様々な環境保全への取組を進めています。この協力体制を藤枝市の強みとして、これをさらに高めるための「人づくり」「場づくり」「しくみづくり」を行うことにより、誰もが環境に良い行動ができる“日本一の環境行動都市ふじえだ”を目指しています。


Q主にどのような取組をしているのか?

大塚:藤枝市の環境日本一に向けた取組は、「藤枝市“もったいない”運動」と称してごみの分別収集、再生可能エネルギーや省エネルギーの普及、環境に良い行動を進めるための教育や啓発を行っています。
ごみの分別収集では、資源・不燃ごみの分別の徹底と燃やすごみの減量を進めています。さらに、燃やすごみの多くを占める生ごみの分別回収を一部地域で実施しています。集められた生ごみは、チューサイグループの㈱エコライフアシストに肥料化を委託することにより、資源の有効活用や温室効果ガス削減などの環境負荷の低減を図っています。
再生可能エネルギーや省エネルギーの普及としては、環境月間である6月より、住宅用太陽光発電・太陽熱・家庭用燃料電池の設置への補助や、「節電アクションキャンペーン」「グリーンカーテンコンテスト」「ライトダウンキャンペーン」の呼びかけを開始しています。
環境に良い行動を進めるための主な取組としては、「エコマイスター育成事業」という環境に関する活動の輪を地域へ広げるリーダーの育成支援をしています。当事業では、環境の専門家による講義や施設見学に参加するとエコマイスターとして認定されます。
また、「環境フェスタ“もったいない”inふじえだ」を5月に開催しています。当フェスタは、市民団体や事業者とものを作ったり遊んだりする体験を通して、どういった環境行動をしているのかを紹介する場となっています。今年度は、5月20日に行われ、約6,700人もの市民の方々に参加していただきました。
さらに、“もったいない”運動推進月間である12月には、「“もったいない”市民のつどい」を開催しています。特に、12月の第3金曜日を「藤枝市“もったいない”アクションデー」として、「市内統一ノーカーデー」や「まち美化」など、環境行動を集中して実践する日としています。
環境に関して活躍意欲のある方は、まずは環境フェスタや市民のつどいに足を運んでみたり、エコマイスター育成事業に参加して、環境の知識や経験を持っていただきたいと思います。


Q子どもたちに向けた取組は?

大塚:環境意識を小さい頃から身に付けて頂くことが、とても大切なことだと思っています。
小学4年生を対象に、「もったいない電気みっけ隊」の隊員として家の電気使用量の確認や、“もったいない”をテーマとしたポスターコンクールを行っています。また、小中学校では、緑のカーテンを設置したり、アルミ缶回収・残飯を無くすなどの「“もったいない”アクション宣言」に取り組んでいただくなど、環境の大切さに気付くきっかけづくりをしています。今年度から実施する環境教育人材育成事業では、学校の環境教育の取組にあわせて、それに関連するパンフレットを提供したり、講師を派遣するなどの支援を行う予定です。
高校生に対しては、「次世代環境リーダー育成事業」を行っています。「藤枝市の環境について」をテーマに論文コンテストを行い、それにより選ばれた高校生を「高校生環境リーダー」として任命しています。彼らは、ハワイに行って自然エネルギーの先進的な政策を学んだあと、市民のつどいにて報告していただいています。この報告から新たに環境の知識を学べただけでなく、日本の方が進んでいる取組があることに気付くことができ、誇りを持って環境保全活動に取り組めるとの声がありました。
子どもたちには、これらの事業で学んだことを周囲の子どもたちと共有するなど、知識を生かして活躍していただきたいです。

Q事業者様が出来る取組は?

大塚:事業者様向けには、環境経営システム「エコアクション21」の導入を支援する「自治体イニシアティブプログラム事業」を商工会議所と共催していますので、積極的に参加していただきたいと思います。また、再生可能エネルギー設備や省エネルギー設備を導入する事業者様に向けた補助事業や取組事例を紹介するセミナーを行いますので、是非参加していただきたいと思います。

Q今後の課題は?

大塚:市民一人一人が環境への意識を広げる事が大切です。そのためには、人材育成にもっと力を入れて、環境をあまり意識していない人に意識してもらうようなきっかけを作ることが、一番取り組むべき課題です。
ごみの減量については、一人一日当たりのごみ排出量が全国でも4番目に少なくかなり進んでいますが、地球温暖化防止をよりいっそう進めるためには、生ごみを出さないことや分別の徹底が必要です。市民のみなさんには、どうしても出てしまう生ごみは水を切って分別していただくなどの工夫をしていただきたいです。また、事業者様においては、まだまだ燃やすごみを削減する余地があると思いますので、ご協力いただきたいと思います。
藤枝市環境基本計画では、目指す環境像として、市民・事業者・行政が協働して「人のチカラ」を結集して「“もったいない”を実践する環境行動都市・ふじえだ」を築き上げることとしています。
 皆様には、環境を守るために出来ることから行動し、人から人に広げる取組をしていただくようお願いします。(敬称略)
(取材者:平成28年入社 総務部広報担当 日高理秀)


エコマイスター育成事業、環境フェスタ”もったいない”inふじえだ、高校生育成リーダーのハワイ研修の様子

生物の命を奪う海洋汚染~人間の不十分な廃棄物管理が生態系を脅かす~

水中ウミガメ

海洋汚染の現状

地球表面の7割にも及ぶ青い海は、豊かな生物の多様性を生み、私たちの食生活を支えるだけではなく、気候の調整や水質を浄化する力を持っています。しかし、その力には限界があり、一度汚れた海を元通りの青い海にすることは容易ではありません。 日本の周辺海域における油や有害液体物質の海上への排出、廃船等廃棄物の不法投棄等による海洋汚染は、依然として後を絶たない状況にあり、海中のバクテリアが汚染物質を分解しても追い付かないほど、地球の海は汚れてきています。

海洋汚染の原因

海洋汚染の原因として、「国連海洋法条約」では、次のように分類しています。1つ目は、河川、パイプラインなどを通じて川に流れ込む工場や家庭からの汚染物によるものなど陸からの汚染があります。2つ目は、海底資源探査や沿岸域の開発などの活動による生態系の破壊、汚染物質の海への流入などです。3つ目は、投棄による汚染です。4つ目は、船舶の運行に伴って生じる油、有害液体物質、廃物などの排出による汚染です。5つ目は、大気汚染物質が雨などとともに海洋に達して生じる汚染などが挙げられています。また、タンカー事故や戦争も大きな海洋汚染の原因と考えられます。

海洋汚染による海や人間への影響

代表的な水質汚染の影響には、公害があります。過去には、汚染水を飲んでしまったり、体内に吸収してしまったりすることによって水俣病やイタイイタイ病などの被害が起こっています。海に流出する有害な化学物質は、食物連鎖を通して濃縮されながら、生物の体内に蓄積されていきます。そのため、生態系のピラミッドの一番上にいる人間ほど、高濃度の有害物質を取り込むことになります。 私たちが出す生活排水には多くの有機物が含まれており、その多くは下水処理場で取り除かれますが、海に流出した有機物は海水を富栄養化し、植物プランクトンの大発により赤潮を招きます。プランクトンは、魚のえらに詰まったり、海水中の酸素を減らしたりし、魚介類の大量死を引き起こすことがあります。また、海流が滞ることにも繋がり、自然の浄化機能が上手く働かなくなる場合があります。そのため、漁業にも大きなダメージを与えます。

ごみによる生物への悪影響

海洋汚染の原因の大半を占めているのは、陸上での不十分な廃棄物管理により海洋に投棄されたプラスチック類、発泡スチロール、プラスチック製品の中間材料であるレジンペレットなどが海鳥や海洋生物の体内に入る被害があります。海には、大きさ5mm以下のプラスチックいわゆる“マイクロプラスチック”が大量に漂っており、重さにして27万トンとなります。 “マイクロプラスチック”は、海水中の油に溶けやすい有害物質を吸着させる特徴を持ち、100万倍に濃縮させるという研究結果も出ており、生態系への影響が懸念され始めています。生物の中には人工のごみとエサの区別ができずに、間違えてプラスチックを飲み込んでしまうものもおり、こうした誤飲・誤食を繰り返す生物は、ごみが胃などの消化器に溜まり続け、エサを食べる事ができなくなり、死んでしまう場合があります。マイクロプラスチックの問題は、世界的課題だと指摘され、日本の環境省も大規模調査を開始しています。海洋汚染は、さまざまなところで生物に影響を与えているのが現状です。また、生き物の中には、好奇心やごみの陰に集まる魚を食べようと近づき、ごみが体の一部にひっかかってしまう危険もあります。人間と違って一度ひっかかったごみを器用に取り外すのは難しく命を落とす生き物もいます。

物質別汚染確認件数の推移

海洋生物の減少

人間活動によって引き起こされている現在の生物の絶滅は、一年間に4万種程度が絶滅しているといわれています。生物多様性が豊かとされる沿岸域の生態系が人間活動により大きな影響を受け、損失の危機にあることが指摘されています。 海の中だけでなく、砂浜についても河川や海の砂利等の採取や河川上流部の整備等による土砂供給の減少、沿岸の構造物による漂砂システムの変化などの影響を受け、海岸侵食が進んでいます。また、大型の海藻が密生した海中林などが著しく衰退する磯焼けなどの様々な生態系の変化やサンゴの白化現象などもあります。 このような砂浜の減少や環境の悪化、水質汚濁等により、アサリ類、ハマグリ類その他生活の一部を浅海域に依存する鳥類・魚介類等の個体数の減少が指摘されています。

海洋汚染に伴い、わたしたちの身近の生物にはどのような被害が起こり、被害を減らすために私たちはどのような対処をしていくべきなのでしょうか。特集2でアカウミガメの保護活動をする御前崎市に取材をしてきました。

アカウミガメの保護活動と亀バックホームスクラム大作戦!

亀バックホームスクラム大作戦!

御前崎市は、日本の北限のウミガメ産卵地として、アカウミガメとともに国の天然記念物に指定されています。しかし、アカウミガメは国際的な絶滅危惧種として生息数は減少しています。アカウミガメを保護するために私たちに出来ることとは何なのでしょうか。

御前崎市ウミガメ保護監視員 髙田正義さん

Qアカウミガメとは?

髙田:アカウミガメは、静岡県内では、遠州灘海岸から御前崎に掛けて大体5月下旬から7月までの産卵期で上陸を始め、産卵をします。ふ化する適温としては、25度~27度であり、猛暑の夏場はほとんどふ化しません。

アカウミガメの産卵の様子

Q御前崎市ウミガメ保護監視員とは?

髙田:御前崎市では、ウミガメ保護監視員8名を委嘱し、ウミガメの保護活動に力を入れています。私どもは、ふ化できない卵を守るために毎年アカウミガメの産卵期に合わせて監視を始めます。今年は5月15日から朝4時前後に海岸を見回り、見つかった卵は全て採取して御前崎にある「アカウミガメふ化場」に持って行き、管理をします。そして、80日前後で孵化した子亀は夜中に海に放流しています。 昨年、御前崎海岸へ上陸したアカウミガメは183頭であり、産卵頭数は86頭。そして、産卵個数は9,160個でした。その内、ふ化した数はおよそ半分の4,430頭です。一昨年は例年より、極端に少なかったのですが、その理由はまだわかっていません。ふ化できなかった子亀においては、毎年子亀供養祭を行っています。今年は半分以上がふ化できるように努めたいです。

Qアカウミガメはなぜ減少していると考えられますか?

髙田:アカウミガメが減少する原因として、1つ目には、アカウミガメが高確率で産卵に来る海岸に津波対策によって岩場が設けられていることが挙げられます。これにより、砂浜まで上陸出来ず、産卵に来る数が減少しています。 2つ目は、磯焼けです。海藻が腐食することで、ウミガメの好物であるエビやアワビなどの甲殻類の採餌が困難になっています。 3つ目は、ふ化した子亀が花火など海より明るい光や海岸に落ちているごみに迷い込み、海に辿り着けないことが挙げられます。ごみは台風や大雨により、沖に多く上げられています。

Qこれらの問題にどう対処していますか?

髙田:アカウミガメが産卵で海岸に上陸する前に海岸の清掃活動を行います。 年に一度、御前崎中学校主催で御前崎市御前崎の海岸を清掃する「亀バックホームスクラム大作戦」が行われます。今年は4月28日に私どもや静岡県産業廃棄物処理協同組合、産業廃棄物処理業者などの他に御前崎小学校、白羽小学校が初めて参加し、約1,000人で清掃を行いました。参加者は協力して流木やプラスチックなどのごみを選別しながら拾った後、産業廃棄物処理業者によって運搬、処分を行います。この活動は、海岸清掃を通して、アカウミガメの生息環境を改善し、地域の自然を大切にする態度を養うとともに、活動を通して仲間との親睦を深めることを目的としています。

Q海岸のごみは増えていますか?

髙田:私は、戦後のときからこの海岸を知っています。昔はガスがなかったことから海岸の流木を家で燃料として使用しており、流木はほとんど見られませんでした。そしてごみについても今より少なかったです。それでも最近では、お店などでレジ袋の有料化や代替の袋を販売するようになったことで、海岸で見かける袋のごみが急激に減り、一番海岸のごみで多いペットボトルについても3分の1に減っています。 戦後は食糧も少なく、亀を口にしたこともありました。その分、亀も身近に感じられますし、自分も亀の助けになりたい気持ちがあります。

(取材者:平成28年入社 総務部広報担当 日高)

未来を走る究極のエコカー

題名


自動車による公害問題

日本における自動車の普及はめざましく、米国、中国に次ぐ世界第3の自動車保有国となっています。しかし、国民生活を便利にするはずの自動車の使用は、大気汚染問題、水質・土壌問題等の地球環境への影響を及ぼします。これらの主な要因となっているのは、自動車の排出ガス(CO₂)です。自動車からのCO₂排出量は、日本全体の排出量の約2割を占めており、地球温暖化対策を推進するためには、自動車からのCO₂排出量を削減することが重要な課題となっています。(※図1)
自動車排気ガスによる被害の大きな特徴は、工場等から排出される煤煙に比べ、その範囲がきわめて広いことです。自動車は、「動く煙突」といわれるように、空間を自由に選択しながら移動します。一定の地点に固定された工場の煙突などに比べ、自動車排出ガスがきわめて広範囲に拡散されます。したがって自動車排出ガスは、道路や交差点に限らず、一般の家庭内にも侵入して住民の健康に悪影響を及ぼします。


2014年度日本の部門別二酸化炭素排出量の割合


わたしたちにできること

こうした事態を前にして、私たちは、自動車と人々の生活との関係について、再検討すべき段階に立っています。
その中でも環境に優しい車を選ぶことも私たちのできる取組みの一つです。昨今では、CO2の排出が少なく空気を汚さない様々な自動車の開発が進められています。その中でも、自動車の購入時に、企業や個人ドライバーがいかに環境(燃費)の良いものを選ぶかが注目を集めており、政府も補助金を出したり、税金を安くしたりするなどして低公害車の普及に努めています。最近は、一般的な自動車よりも燃料費がかからず、維持管理に手間もかからない乗る人にもやさしい自動車が次々と世に送り出されており、具体的には、ハイブリッド自動車、電気自動車などがあります。その中でも今後普及を推進されているエコカーの一つである、燃料電池自動車について取り上げます。(※図2)


FCVの仕組み

燃料電池自動車【FCV(Fuel Cell Vehicle)】とは?

搭載した燃料電池で水素と酸素の化学反応によってつくった電気により、モーターを回し、走行する自動車です。使用燃料には、長期的には水素が使用されると考えられていますが、水素は燃料供給などの面で課題があるため、現在はインフラの整備や取扱い、価格、効率などの面で、各種燃料を比較、検討している段階にあります。(※図3)


環境にやさしい自動車の種類と特徴

FCVの5つのメリット

水素は宇宙で一番豊富であると言われるクリーンなエネルギーです。その有力なエネルギーを利用したFCVには、5つのメリットがあります。
1つめは、有害な排出ガスがゼロ、または少ないことです。走行時に発生するのは水蒸気のみで、大気汚染の原因となる二酸化炭素(CO₂)や窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、浮遊粒子状物質(PM)がまったく排出されません。 また、ベンゼンやアルデヒドなどの有害大気汚染物質の排出もありません。(※ 水素を直接燃料として使用する直接水素方式のFCVの場合)
2つめは、エネルギー効率が高いことです。現時点で、ガソリン内燃機関自動車のエネルギー効率(15~20%)と比較して、2倍程度(30%以上)と非常に高いエネルギー効率を実現しています。 燃料電池自動車は、低出力域でも高効率を維持できるのが特長です。
3つめは、多様な燃料・エネルギーからの製造が可能なことです。天然ガスやエタノールなど、石油以外の多様な燃料が利用可能なため、将来の石油枯渇問題にも十分に対応でき、安定した供給が期待できます。また、太陽光やバイオマスなど、再生可能エネルギーで得た電気から水素を製造することにより、環境への負荷を軽減します。再生可能エネルギーの発電量は、自然に大きく左右されるため、変動が大きくなってしまいますが、発電した電気を水素に置換することで、エネルギーを貯蔵することができ、需要に応じた容易な輸送が可能となります。
4つめとしては、騒音が少ない事が挙げられます。燃料電池は電気化学反応によって発電するため、内燃機関自動車と比べて騒音が低減できます。 車内の快適さはもちろん、都市全体の騒音対策にも効果が期待されます。
5つめは、充電が不要なことです。長時間の充電が必要な電気自動車と違い、ガソリン内燃機関自動車と同様に短時間の燃料充填が可能です。 また、1回の充填による走行距離も電気自動車よりも長く、将来はガソリン内燃機関自動車と同程度になると考えられています。

水素エネルギーを燃料として考えられている燃料自動車。水素の燃料供給をするためには、水素ステーションが必要となってきます。その水素ステーションについて詳しくは、特集2で取材してきました。

静岡ガス株式会社による静岡県初のオンサイト型水素ステーションに迫る

題名

本年3月、静岡市駿河区曲金に静岡ガスが建設を進めていた静岡県内初のオンサイト式の水素ステーション「水素ステーション静岡」がオープンしました。全面道路は国道一号線と平行して走る幹線道路で、東名高速道路からのアクセスもよく、比較的近くにFCVの販売や整備を担う自動車販売店があり、FCV普及のためには非常に良い立地にあります。今回はその水素ステーションとはいったいどのようなものか、真相に迫ります。

静岡ガス株式会社鈴木さん/上木さん

Qなぜ静岡ガスが水素ステーションを開設されたのか?

上木:FCVは、走行時に大気汚染物質もCO₂も排出しない「究極のエコカー」と呼ばれ、今後の普及拡大が期待されているとともに、FCVに水素を充填する水素ステーションの整備も急がれています。そこで、静岡ガスは、静岡県における水素社会実現の第一歩と捉え、「水素ステーション静岡」を開設することとしました。

Q水素ステーション静岡の仕組みは?

上木:静岡ガスが取り扱っている都市ガス(主成分:メタン)から水素製造装置によって水素を取り出しています。製造された水素は圧縮機により、圧縮し、蓄圧器に貯蔵されます。蓄圧器とFCVの圧力差により、水素がFCVへと充填される仕組みとなっています。FCVに水素が充填される際、急激に圧力が上がり、温度が急上昇します。そのため、充填の際には水素の温度を-40℃まで冷却し、FCV充填時に安全な温度が保たれるような仕組みとなっています。

Q水素ステーション静岡の特徴は?

鈴木:当ステーションの特徴の1つめは、定置式のオンサイトというところです。ガソリンスタンドのように他から水素を持ってくるオフサイト型ではなく、ステーション内で水素を製造します。2つめに、燃料電池バスが利用できる広い敷地であることです。3つめは、中間圧蓄圧器によって、水素を蓄圧器に貯める事により、水素製造装置をなるべく動かさない仕組みになっているところです。蓄圧器による加圧を繰り返すことで効率的な利用ができます。4つめは、パナソニック株式会社の純水素燃料電池により事務所内に電力を供給していることです。5つめには、スズキ株式会社が開発した燃料電池バイクへの水素充填にも対応していることです。バイクの充填には、70MPaの装置でしか対応できませんが、当ステーションでは、82MPaのものを調整して充填を可能にしています。

Qどのような安全対策を取っているのか

上木:水素は、水素脆化と呼ばれる鋼を脆くする性質をもっていますので、それを防ぐため特殊な鋼材を使用し溶接を数多く施しています。さらに万一に備えた検知器の複数装置や、水素が滞留しない構造等2重、3重の安全対策をとっています。

Qこれからの展望は?

鈴木:現在、静岡県内のFCV台数は40台程度です。FCVを納車するにあたっても、2~3年と長い期間を要していましたが、現在ではこのステーションができたことにより半年程度と短くなっています。今後は更にFCVの使用者が増え、水素ステーションも更に増えることを望んでいます。そのためには、FCVや水素ステーションについてより多くの人に知ってもらう事が必要になります。

上木:また、燃料電池バスが利用できる広い敷地であることから、燃料電池バスの普及も進んで欲しいと考えております。その他にも、自動車に限らず、水素ステーションで精製した水素により近隣の住宅や災害の際に体育館などに電気を供給できるようになればと考えております。このステーションでも利益が出せるようにしていきたいですね。
当社および静岡ガスグループは、水素エネルギーの普及を通して、今後も地域社会の発展に寄与するとともに、低炭素社会の実現に向けて取り組んでまいります。

水素ステーション設備


静岡ガス株式会社


(取材者:平成28年入社 総務部広報担当 日高)

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