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「静岡市」による「世界に輝く静岡」を加速させるSDGsを組み込んだ世界水準のまちづくり

2016国連ニューヨーク本部SDGs推進会議

静岡市役所 企画局 企画課 地方創生推進係 副主幹

国連ニューヨーク本部で5月31日に開かれた「SDGs推進会議」に静岡市長が招待され、市のSDGs推進の取組みを演説しました。市長はなぜ国連に招待されたのでしょうか。静岡市の取組みに迫ります。

静岡市が目指すSDGsとは?

南條:国連では全ての国や地域が持続的に発展していくための目標「SDGs」が策定されました。その目標の達成に、今、まさに、世界が一丸となって取組んでいます。
 本市は、総合計画で「世界に輝く静岡」の実現を目指すまちの姿として掲げています。その実現に世界共通の目標を組み込むことは、これまでの取組みが世界につながることになります。そして、世界水準のまちづくりを進めていくことで、「世界に輝く静岡」を実現したいと考えています。

何を国連に評価されたのか?

南條:大きく二つのポイントが評価されたと考えています。
 一つは、SDGsを身近な存在に捉えていることです。漠然と、SDGsのために何かをするのでなく、2030年の未来の静岡の姿を描き、その実現のツールとしてSDGsを位置づけ、何ができるか考えています。
 例えば、本市では、総合計画の実現のため、特に力を入れて取り組む5つのプロジェクト(5大構想)(※図1)があります。この5大構想の2030年の姿を見据え、最も関係するSDGsの目標を位置づけ、その達成に取組んでいきます。
 もう1つは、市長を筆頭に、SDGsの普及啓発に取り組んでいることです。現在、本市では、SDGsを組み込んだまちづくりについて、市長が市内11か所で、市民と話し合う「まちづくりセッション」を開催しています。そこでは、SDGsの目指す理想の社会(誰1人取り残されない)と本市の目指す安心・安全なまちづくりの姿に親和性があることを市長から伝え、市民一人ひとりがSDGsを知る機会になっています。残念ながら、5月現在、SDGsの市民認知度は低い状況です。これから、本市が日本のSDGsを牽引し、認知度を高めていきたいと考えています。そのための大きな後押しとして、本市は、国からSDGsの達成に向け優れた取組みを提案する「SDGs未来都市」に選定されています。(※写真1)未来都市は、資金面での支援に加え、取組むにあたっての悩みや課題を国の有識者や職員からアドバイスを得ることができます。また、国から世界の情報を提供され、より取組みを加速できます。

5大構想にSDGsを組み込むとは?

南條:第3次静岡市総合計画・5大構想にSDGsを組み込み、市の取組みを加速させていきます。えば、5大構想の「健康長寿のまちの推進」に、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」を組み込みます。「健康長寿」というと高齢者施策をイメージすることが多いと思いますが、「すべての人」を意識することで、世代ごとに健康長寿とは何か、そのために何をすればいいのか、必要な施策を考え、取組みを広げていくことができます。
 もちろん、SDGsは、世界共通の目標であることから、本市の取組みが世界とつながり、世界水準となることも期待できます。

これからの動きは?

南條:DGsを5大構想に組み込むにあたっては、まず、SDGsを多くの方に知ってもらうことが必要と考えます。
 そのため、来年1月にSDGsを推進する東京ガールズコレクション(TGC)の静岡開催の準備をしています。TGCの発信力を使い、SDGsの大きな担い手となる若者にSDGs推進の意義や取組みを発信します。特に本市では、来年の1月3日の成人式からTGCまでの間を「SDGs推進ウィーク」と定め、イベント等の集中開催によりまち全体をSDGs一色に染めることで、SDGsの認知度を高めていきたいと考えています。これは、NPO、大学、企業等がSDGsやそれに関連することを自主的に考えて普及啓発していく、市民参画型の取組みです。
 SDGsはこれから多くの方に認知される必要があります。無理して取り掛かるのではなく、身近なところで自分の行動がSDGsに繋がっていることを感じて頂きたいです。それから、どのようにSDGsを取り入れると自分たちの暮らしがもっと良くなるのかを知って頂ければ幸いです。  
(敬称略)

5大構想、②世界水準の海洋文化施設の設備例、SDGs未来都市選定証授与式

(取材者:平成28年入社 総務部 広報担当 日高)

伊豆半島ジオパークから教わる自然環境の面白さ

ジオリアにて

伊豆半島ジオパーク推進協議会とは


伊豆半島ジオパーク推進協議会事務局専任研究員博士 新名阿津子さん

伊豆半島ジオパークとは?

新名:当協議会は、伊豆、三島、沼津などの15市町村および関連団体、交通事業者等の民間団体により構成されています。ジオパークのインフラの整備や環境保全活動、教育や観光振興をしています。
 今の美しい伊豆の自然環境を残す為にも持続可能な開発の目標達成に向け、地域のみなさんが主体となるように当協議会がサポートしながら様々な方法で伊豆を知り、守り、伝える活動をします。ジオパークの魅力ある地を「ジオサイト」として紹介するだけでなく学術調査もしています。

なぜ世界認定されたのか?

新名:世界審査でユネスコが定める基準をクリアすることにより認定されました。まず地質学的にも価値があり、世界的にも誇れるものかを評価されます。次に、明瞭に境界を定められた地域であるか、運営・管理団体がしっかりできているか等をクリアすることが求められます。

伊豆半島の成り立ちは?

新名:現在の伊豆は元々日本から遠く離れた南の海にあった海底火山でした。海底火山は2000万年前頃に始まり、フィリピン海プレートに乗って噴火を繰り返しながら北に移動していきました。220万年前頃には伊豆と本州の衝突が始まり、伊豆全体が隆起し、半島の原型が作られました。およそ60万年前には伊豆は本州と地続きの半島になり、衝突された本州側には丹沢山地や足柄山地が出来上がり、伊豆半島が誕生しました。(※図1)
 1,100万年前以降、日本の寒冷化によって絶滅したはずのレピドシクリナ(※図2)が伊豆半島の同時代の地層から化石となって発見されたことから、当時伊豆半島が南洋の暖かい海に位置していたことがわかります。
 このように半島が衝突してできた例は世界ではインドのユーラシア大陸への衝突があります。

伊豆半島ジオパークの見どころは?

新名:伊豆半島の地層、気候、食物など様々なものから多くの発見を得ることができます。
 例えば、地層を見ることによって、どの時代の地層であるのかを知る面白さがあります。上と下の地層に色の違いがあります。(※図3)上の層は火山が噴火し、酸化して赤くなった層で陸の時代にできたものです。しかし、下の層は海底の中で噴火したため、酸化せずに火山灰などが固まったものです。
 また、食べ物から見ると、天城は伊豆の中でも降水量が多いことから、ブナ林など原生林を残し、綺麗な水でしか育たないわさび沢を作りだしています。伊豆半島の周りには、沈み込んだプレートの境界があるため、水深が深く、金目鯛やタカアシガニなど深海魚がすぐに採れるため新鮮なものを食べることができます。
 文学からも伊豆の自然を感じることができます。夏目漱石や川端康成などの近代文学者が伊豆に滞在しました。彼らが伊豆の自然や環境からどういうインスピレーションを受けたのかを彼らの文学作品やエッセイ等から知ることができ、伊豆を日本全国に広めるきっかけになりました。文学者たちにとって関わり深い伊豆の地を作品を通して楽しむ事が出来ます。

今後の展望は?

新名:地球について楽しく学び、気づいたら知識として身についているのが理想です。更に文化や芸術などを取り入れて伊豆半島ならではの良さを案内していきたいと思います。
 4年に1度ジオパークの再審査があるので、今よりさらに良くするために、世界のジオパークと共有し、一緒に考えてワークショップを開催したり、国際会議などで議論したりしながらアイディアを発想していき、伊豆半島が世界に並べるようにパフォーマンスを上げていきたいです。お互いが各々のジオパークを紹介し合いどういったガイドをすると面白いのか、研究者としては文化のつなぎ方をどのようにするかを議論することもしていきたいと思います。さらに、海外からの方々も多く来ていただけるように英語での情報の充実を強化しインバウンド対応をしていきたいと思います。(敬称略)

伊豆半島の誕生 伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」内の展示物

(取材者:平成28年入社 総務部 広報担当 日高)

ソーラーシェアリングで持続可能な農業を目指す

ソーラーシェアリング

スマートブルー株式会社専務取締役 荒木慎吾さん

スマートブルー株式会社とは?

荒木:次世代エネルギーの可能性を追求し、持続可能な社会の実現を目指す企業として主に太陽光発電を中心とした風力発電、水力発電などの再生可能エネルギ関連商材を販売、計画、施工、コンサルティング、メンテナンスをしています。
 その中でも、「営農型発電(ソーラーシェアリング)」という畑や田んぼに太陽光発電システムを設置し、売電事業と農業を両立するビジネスを中心として行っています。

営農型発電を設置する理由は?

荒木:現在、農家さんの平均年齢は66歳を超え、TPPの問題などから農業を続ける者が減少しています。そのため、農業耕作放棄地が全国で埼玉県の面積に匹敵するほどに増えています。
 農業経営には多くの課題がありますが、農地は農業以外での収入を得てはならないことになっていたため、太陽光発電を設置したくとも、地目が田や畑といった「農地」の土地では設置できない事になっていました。しかし、5年前に農水省から支柱の部分の断面だけを一時的に転用する手続きを取ることで、発電事業と農業を両立できれば農地に太陽光発電の設置を許可するとの通達がでました。
 営農型発電は、農業以外の安定的な収入を確保することで農業経営の課題を解決し、発電事業と農業を両立出来ます。
 農業就労者が減っていく中、耕作放棄地が増えていくと土地にごみを捨てられたり、イノシシが来たり、虫が大量に発生したりするなど周囲の環境を悪化させることになります。しかし、営農型発電により農地を有効活用できると耕作放棄地に農業を担う担い手が見つかる可能性があります。

設置での農家さんへの負担は?

荒木:営農型発電を設置するのに初期費用がかかりますが、土地を所有している農家さんが設置するだけでなく、他の人が設置することもできます。例えば、第三者は支柱から上の部分を地主に借り、地主さんに地代を払います。そして耕作する人に売電収入によって耕作料を支援することができます。(※図1)20年間固定価格買取制度により安定して売電できるので、その分農業に還元し農地自体に付加価値が付きます。

スマートブルー株式会社の特徴は?

荒木:弊社は農業コンサルタント、農業法人、建設会社などで構成される一般社団法人全国営農発電協会の事務局となって運営しているので、協会としてお客様に合った設計、一時転用の手続きのお手伝い、有識者意見書(パネルの下でも育つことの証明)の書き方をアドバイスできます。また、静岡県立大学や東京大学の教授とパネルの下での生育状況がどう変化するのか、施肥により収量をどう上げていくかなどを研究をしています。
 農作物の生育に必要な日照条件や作業環境をいかに具現化できるかを独自開発した「影の見える化ソフト」で対象となる農地に設置可能なパネル枚数、架台の面積や高さなどを基に影分布をシュミレーションする事ができます。

今後の取組は?

荒木:持続可能な農業を目指していますが、営農型発電は取組の一つです。その他の取組として流通業者と提携して農家さんや新規就農者さんに無償でスーパーフードの苗を提供していきたいと思います。例えば、欧米で人気のある日本ではほとんど輸入されることのない、キャビアのような高級フルーツ「フィンガーライム」をみなさんに作って頂きたいです。(※図3)供給が1に対して需要が100あるなど日本で中々手に入らない希少な食材を通して、より収益性の高い経営を提案できます。それにより新規就農者の方を増やしていきたいです。また、発電した電気を蓄電池にためて自家使用したり、経験や感だけに頼る農業をするのではなく、IoTやAIを活かした先進技術により次世代の農業に貢献できるように組み合わせていければ農業を面白いものとして活路を見出していけると思います。(敬称略)

スマートブルー株式会社のソーラーシェアリングの施工例


(取材者:平成28年入社 総務部 広報担当 日高)

水と電気を 自給自足できるOTSハウス

OTSハウス

 2017年10月に完成した水と電気を完全自給自足する「OTSハウス」とはどのような仕組なのでしょうか。実証実験段階の今、今後の展開も含めお伝えします。

株式会社TOKAIホールディングス経営戦略部長TLC企画推進部長

TOKAIグループとは?

大井:静岡県をはじめとして、LPガス/都市ガス、インターネット、ケーブルテレビ、宅配水、格安モバイルなど、生活に欠かせないインフラサービスを提供しています。

OTSハウスとは?

大井:「OTS」とは、「On the Spot」の頭文字を取った造語です。東日本大震災や熊本地震では、水や電気、都市ガスなどの生活に不可欠なインフラが深刻なダメージを受けました。こうしたインフラは、復旧にも多大な時間がかかります。
 そこから、インフラに頼らない、家一軒だけでも(=on the spot)エネルギー・水を完全に自給自足できる家が実現出来ないか、という観点でプロジェクトを開始しました。このOTSハウスは、その実現性を検証しながら、様々なお客様や取引先様、有識者の皆様にご覧頂くことで意見を集めたり、協同したりすることを目的とした「コンセプトハウス」です。

水の自給自足の仕組みは?

大井:生活水は、「雨水の集水・貯水 + 浄化・循環システム」で自給自足します。雨水を最大1万L貯められるタンクに貯蔵し、浄化装置によってろ過・消毒、上水道レベルまで水質を高めた水をハウス内に供給しています。(※図2)使用した水は、そのまま排水=捨てることなく、RO(逆浸透膜)装置で純水にろ過し、雨水タンクに戻して循環させ、再利用します。通常、4人家族が必要な水の量=新しく補給する必要がある水の量は1日に800~900L程ですが、この循環・再利用する仕組みにより300Lに抑え、雨水だけでも完全に自給自足が出来る仕組みを実証しています。
 現状では、ほとんどの月で自給自足が成り立つと考えていますが、実証の結果も踏まえて、雨水が足りないなどのトラブル等にも十分に対応できる仕組みを作り上げたいと考えています。

電気の自給自足の仕組みは?

大井:電気は、「太陽光発電+エネファーム+蓄電池」で自給自足をします。家の電気の自給自足は既に新築住宅では一般的なキーワードになっていますが、あくまで電力会社と接続し、必要な場合は電力会社から電気を買うことが前提となっています。このOTSハウスでは、電力会社との接続を遮断し、完全に家一軒だけで電気を自給自足する仕組みを検証しています。
 発電・蓄電ともに完全な電気の自給自足を実現出来る製品はもちろんまだ発売されていません。様々なメーカーさんの製品を組み合わせながらマッチングしています。特にエネファームは、発電に特化した「SOFC型」を採用し、安定した電力を供給、またガスもLPガスを利用することで、ボンベ2本で約1ヶ月は稼働できる環境を整えています。
 もちろん家自体にも省エネ、特に冷暖房に必要なエネルギーを減らす設計や様々な設備を導入しています。
 夜間に必要な電力を蓄える蓄電池も、新しい試みとして、中古の電気自動車を安価に購入し、蓄電池代わりにならないかを検証しています。(※図4)

経済メリットは?

大井:電気についてはゼロ、水道料金も上水道は利用しません。ただし、下水には接続しなくてはならないので、基本料金だけは発生します。また、ガスについてはエネファームが常時稼働しているため、料金は高くなりますが、これらを合計すると年間16万円ほどのランニングコスト減を実現出来る見込みです。
 あとは、この家自体のイニシャルコストをいかに抑え、皆様にお届けできるOTSハウスを生み出せるかがこのプロジェクトの最大の宿題です。

 もちろん、全てをパッケ―ジにするのではなく、雨水の利用のみ、あるいは創蓄電や導入した設備の一部分だけなど、お客様のご要望に合わせて、柔軟に提案することも進めて参ります。
 見学は予約制としておりますが、
 ご希望の場合はOTSハウスホームページ
http://ots.tokai.jp/
 からお気軽にお問い合わせください。

水のサイクル


OTSハウスの仕組み

(取材者:平成28年入社 総務部 広報担当 日高)

産業廃棄物処理業者とパートナーとなって適正な処理を

はごろもフーズ株式会社様講演

はごろもフーズ株式会社お客様相談部環境問題担当マネージャー西林秀晃様


Q適正処理の確保のために最も大切なこととは?

西林:最も大切なことは、排出者として処分業者に対する要求は適正であるかということです。
 拝見する処分業者もお客様です。産業廃棄物処理業者とは同等の横並びの関係であるべきだと思います。パートナーとしてコミュニケーションを取り、連携していくことが必要です。

Q例えばどのようなコミュニケーションが必要?

西林:以前、優良認定処理業者を視察に行こうとした際に説明できる営業担当が不在のため、立会いの確認はできないと断られたことがありました。
 こちらの要求を投げかけるだけではなく、コミュニケーションを取りながら、視察の日程を決めたり、その時のお願いするときの言葉遣いは適切か、ということを気にかけることです。
 視察にいくときには対応する相手のことを考え、適切な時間に行くことも一つです。視察を1日通してするような長い時間の拘束は、自らのルールを押し付けることになります。そのため、1~2時間程度適切な時間で確認するなど相手のことも配慮した行動が大切です。
 優良認定処理業者の場合は、インターネットを利用する方法により実地確認を行うことができます。それも処分先を確認する方法の一つの手段として活かすことが必要です。

Qその他、今後重要となるパートナーとは?

西林:収集運搬業者や行政、静岡県産業廃棄物協会などです。収集運搬業者であれば、運搬先の処分業者で荷物が溢れていないかなど処分先の状況や、マニフェスト上の記載と降ろし場所は適正かなどの情報確認をします。

Qはごろもフーズ株式会社様の視察で注意していることとは?

西林:弊社では起用する前から処分が終了するまで一連の流れは優良認定業者であっても全て拝見します。しかし、全てを見ることには限度があり、多くの時間を要することになります。グレードを決めて確実に見なければならないものを見ます。見ているという姿勢が大事です。

Q視察で見るところのグレードはどうやって決めるのか?

西林:まずは、排出事業者としてどういうことを守らなければならないのか自分の会社の事を知る必要があります。自分の会社では何を製造・販売・管理しており、何を排出し、何をリサイクル資源としているかということです。そこから製造・販売・管理の中で遵守していくべきことを知ることができ、重視して見ていくべきことが見えてくるのではないかと考えます。

Q今後取り組むべきことは?

西林:食品不適正処理を見抜けなかった事案については不適正処理を見抜けなかった能力の問題だけではなく、圧倒的に監視する人員の不足だと考えます。
 実際弊社でも、環境問題についての責任担当は私だけです。今後も環境に関わる講演会などに積極的に参加し、こちらから提供するだけではなく常に学んでいきたいと思います。そして、学んだノウハウは周りに継承し、多くの社員が環境に興味をもって対応できるように育成していきたいです。
 お互い尊敬するパートナーとして排出事業者は、適切な態度で思いやりを持つこと。処分業者は目線を一緒にして意志を持って取り組むことが大事だと考えます。
(敬称略)

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(取材者:平成28年入社 総務部 広報担当 日高)

南海トラフ地震の新しい防災対応

災害対策本部

静岡県危機管理部 危機政策課 主幹兼副班長 板坂孝司様


Q静岡県危機管理部とは?

板坂:県の防災・危機管理を担当しています。主に地震、火山対策ですが、国民保護事案えば北朝鮮のミサイル問題)等の対応もしています。(例えば北朝鮮のミサイル問題)等の対応もしています。

Qなぜ地震の予知をしないのか?

板坂:東海地震は震源域が静岡県の下に広がっているため、地上で地震の発生につながる地盤の変動状況を調べることで、予知が可能と考えられていました。しかし、近年の研究で確度の高い地震予知は困難とされ、地震予知情報に基づいて警戒宣言を出すことはなくなりました。しかし、予知は困難でも、地震の発生につながる何かしらの異常が観測できた場合にはその情報を出すことによって、安全性を確保できるように、気象庁は平成29年11月1日より「南海トラフ地震に関連する情報」を発信することになりました。予知に関する情報は出なくなりしたが、観測・調査は続けられています。

Q南海トラフ地震に関連する情報が出るときとは?

板坂:南海トラフ地震に関連する情報の発表は、南海トラフ沿いで異常な現象が発生した時は、南海トラフ沿いで異常な現象が発生した時(図1)に気象庁からされます。南海トラフ沿いの異常な現象の例としては、次の3つが示されています。

1.南海トラフの西側で大規模な地震が発生したとき
 これは、西側で地震が起きた場合には、東側の静岡の方でも連動して地震がおきる可能性があると考えているからです。

2. M8~M9クラスの地震と比べて一回り小さい規模(M7クラス)の地震が発生したとき一回り規模の小さい地震が大きい地震を誘発することがありうると考えられています。

3.東海地震の判定基準とされるようなプレート境界面でのすべりが発生した時
地下に設置してある「ひずみ計」が地下の力の加わり方に異常な状態を読み取った場合です。

 異常な現象を観測したとき、気象庁は国内の地震研究者等による南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会を開催します。各地に設置されている観測装置のデータをみながら南海トラフでの地震発生との関連性を検討します。大規模な地震発生の可能性が平常時より相対的に高まったと評価した場合にみなさんに警戒を呼びかけます。警戒宣言では、数時間から数日のうちに東海地震が発生するとされ、学校を休校にしたり、電車を止めたりすることにしていましたが、それ以上の期間となると社会や経済に大きく支障がでます。南海トラフ地震に関連する情報は、確実なものではなく、長期化することがありうるため、そのような対応は困難です。

 例えば、企業のサプライチェーンを考えると元請さんの要望は断れず、工場や機械など止められない事情もあるでしょう。企業ごとにどの程度の耐震性があって、どのような対応だったら耐えられるかということを、みんなで相談して考えることができるようにしたいです。

 そのためには住民、企業、福祉施設、病院等から幅広く意見を収集しなければなりません。モデル地区である静岡県は地震が起こる前にどのくらいの期間であれば不便な生活を耐えられるかを話し合い、対策をまとめ、他の自治体や企業さんが、自分たちがどういう対応ができるかを考えるための参考になるものを作っていきます。

Qわたしたちが取るべき地震対策は?

板坂:地震発生の可能性が高まったと評価された情報が出たときは、いつ地震が起きてもすぐに避難できるように避難先や経路を確認したり、家具を固定したり、家族とどのように連絡を取り合うかなどを今一度確認していただきたいです。企業であればどのような対応を地震発生前にとれば、従業員や顧客を安全にできるか、早く復旧できるのか、ダメージを最小限に抑えるようにできるのか検討していただければと思います。
この情報は、普段している防災対策に安全性を上乗せするようなもので、情報が出てきたときに普段の防災対策がちゃんとできているのか再確認するような対策を立てていきたいと考えています。

(敬称略)

南海トラフ地震に関連する情報(臨時に関する基本的な流れ)

(取材者:平成28年入社 総務部 広報担当 日高)

コーヒーかすを有効利用し、エネルギーの無駄のない蓄電装置の開発

コーヒーかすを利用して開発した蓄電装置での発電

静岡県工業技術研究所 浜松工業技術支援センター 主任研究員 菊池圭祐様


Q静岡県工業技術研究所とは?

菊池:静岡市に工業技術研究所と沼津、富士、浜松に工業技術支援センターを配置し、県内産業界の技術支援をしたり、共同で研究開発を行ったりしています。県で運営しているため、当センターで技術の研究開発をすることにより、技術や試験に問題がないことを公的に示すことができます。また、最新の技術を提供したり、技術セミナーを行ったりしています。

Qなぜコーヒーかすを蓄電装置に?

菊池:ある廃棄物処理業者から県内で大量に排出されるコーヒーかすで燃料を作りたいという要望がありました。コーヒーかすは、油分を含み、木材の1.5倍のカロリーを有しているため、木を燃やすよりエネルギーがあります。しかし、そのまま燃やすと粉状のため、粉じんが出るなど取扱いがしづらいものになります。そのため、工業技術研究所では、コーヒーかすを円筒状のペレットにし、安価なバイオ固形燃料を開発しました。そこから、燃やして燃料にするだけではもったいないと考え、より付加価値のある多孔質な活性炭(電気を通す表面積が大きい材料)を作り始めました。
 平成23年から3年間、県のプロジェクト研究として3人のメンバーでコーヒーかすのみならず静岡で無駄にされている残さを有効利用する研究を始めました。

Q開発した蓄電装置の特徴は?

菊池:蓄電装置には、電池二重層キャパシタ(EDLC)という電池よりも急速に充放電ができ、ある程度電気を蓄えられる蓄電器を使用します。蓄電器の中でも「電池」は化学反応により電気を蓄えますが、「EDLC」は物理的な力により瞬時に電気を出し入れするため、劣化しにくく寿命が長い蓄電器です。例えば、蓄電器を使用することで車のブレーキを踏んだ時に無駄になるエネルギーを逃さずEDLCに回収し、ヘッドランプなど電気を使用する部品にエネルギーを回して電気の有効利用ができます。
 活性炭は、表面積が大きいほど電気を運ぶイオンが吸着するため、より多くの電気を蓄えることができます。そのため、コーヒーかすにたくさんの穴を空け、表面積を大きくする必要があります。普通の炭ですと、1g当たり10~100㎡程の比表面積がありますが、活性炭にすることで比表面積は、なんと1gで1,000㎡以上の比表面積(テニスコート4枚分)になります。1,000㎡あれば活性炭と言われていますが、当センターでは1,400㎡もの比表面積を出すことができます。

Q現在の課題は?

菊池:現在は、コーヒーかすの活性炭の利用が実証され、それを普及していく段階です。県内外で活性炭を使用する企業を探したり、各社のご要望に応えた活性炭を作ったり、研究段階では数グラムしかできないものを企業でも十分に使用ができるようにスケールアップしている所です。県内での活性炭の使用実績がないため、どういうところで使用できるのかまだ未知なところがあります。使い手と作る量の需要と供給のバランスを取りながらコーヒーかすの活性炭を普及をしなければなりません。

Qメリットは?

菊池:これまで一般には、ヤシ殻の活性炭をメインに木材やフェノール樹脂が使用されています。ヤシ殻は東南アジアから輸入しており、熱帯雨林を焼き払って栽培するため、環境に悪影響を及ぼします。また、国内の他に燃料として必要とする国があり、供給を増やせず、値段が不安定です。一方で、コーヒーかすは国内の資源を使用することになります。排出事業者が自らこのコーヒーかす活性炭を作り、様々な分野に応用することができれば、廃棄コストや収集運搬費をなくすだけでなく、新たな事業に展開できる可能性があります。

Qどのような用途が期待できるか?

菊池:蓄電装置は、雷などで瞬時に停電した時の電力を素早く補うことができるので、半導体工場などに設置されています。また、パソコンのバックアップ電源、瞬時に大きい電力を必要とするクレーンなどに使用したりすることができます。活性炭は水処理、空気清浄など様々な用途に使用できます。そのため、お客様のご要望に合わせた様々な性能の活性炭のサンプルをご提供し、製品化していきたいと考えております。

ご興味のある方は、
静岡工業技術研究所浜松工業技術支援センター

TEL:053-428-4156

までご連絡いただけますと幸いです。


(敬称略)

電気二重層キャパシタEDLCの応用分野 蓄電能力の比較 コーヒーかすの活性炭の穴 コーヒーかす活性炭シート状にして使用

(取材者:平成28年入社 総務部 広報担当 日高)

静岡県によるエネルギーの地産地消を推進し、地域経済を活性化する取組

富士山

静岡独自のVPPの構築のために静岡県が動き出しています。静岡県ではどのような特徴のVPP構築を目指しているのでしょうか。


静岡県経済産業部産業革新局エネルギー政策課長黒田健嗣さん


QふじのくにVPPとは?

黒田:静岡県では「エネルギーの地産地消」を「地域経済の活性化」にどう結び付けていくかをエネルギー総合戦略として策定しています。その中の戦略
①「創エネ」分散型エネルギーの導入拡大
②「省エネ」色んな省エネに取り組む
③「経済活性化」地域企業さんによるエネルギー関連産業への参入促進
この三つを柱にした計画の一つにふじのくにVPPの構築が位置づけられています。 現在、県内で必要な電力は県内で20%しか作られていません。そのため、県外から8割も電気をもらっています。太陽光発電などの出力を安定させられるようにVPPを導入し、再生可能エネルギーの導入拡大を目指しています。
また、災害時に大きな発電所が止まり、すべての電気が止まるのを防ぐため、再生可能エネルギーを中心にリスク分散した小規模分散型のものを作っていくことを目指しています。

QふじのくにVPPの仕組みは?

黒田:アグリゲーター(集める人)が発電設備や需要家が今どれだけ電気を発電し、使用しているかという情報をリアルタイムで収集し、抑えるべきところ、上げるべきところの指令を出し、IoTの技術で遠隔操作をしてコントロールします。電気を作る方と使う方で上手く蓄電池を組み合わせ、双方で電力を安定化させます。例えば、太陽光発電設備がたくさん発電している時には、蓄電池に貯め、足りなくなった時には蓄電池から取り出します。新電力への移行を契機に「スマートメーター」という今の電気の使用量がインターネット経由で情報として吸い上げられる機械が広まっています。これが現実となり、その仕組みが出来るようになっています。また、蓄電池自体も外からの指令で操作できる技術ができてきています。

QふじのくにVPPとは?

黒田:電気の基本料金はピーク時の電気使用量と全体の電気使用量によってランクが決まります。そのため、ピーク時に電力会社から電気を買わずに蓄電池に貯めておいたものを使用すれば、電気を買う必要が無くなり、ピーク時の電力量を削減できます。結果、電気代の基本料金を減らせ、無駄な電気の使用を減らす指示も受けるため節電にもなります。
再生可能エネルギー発電事業者や電気を売っている小売電気事業者も蓄電池に電気を貯めておけるため、太陽光発電などの電源の安定化によって電気の受け入れを制限されることがなく、想定していた電力の調達が可能になります。また、ピーク時に稼働しなければならない火力発電所のような予備の発電設備を所有するのに費用がかかりますが、再生可能エネルギーで調整すれば、供給コストの低減にもなります。
更に、新しいシステムのために色んな製品、技術の使用により機器メーカーや工事業者も仕事が増え、地域事業者の雇用創出にも繋がります。色んな人にメリットがあるのです。

Q今後の動きは?

黒田:9月末に「ふじのくにバーチャルパワープラント構築協議会」を立ち上げ、一回目の会合を行いました。そのメンバーとして、有識者や県内の23市町、中部電力などの関連事業者などに入ってい頂いています。今年、協議会の検討と合わせて、県内にどういう設備がどこにあり、そこで電気使用量の時刻変動をデータで集め、どのような仕組でコントロールすると効果が大きいかを調査します。また、どの様なところに設備を設けられるのか、継続でき、事業性があるかについても調査します。
来年度以降には実証し、将来的に一つの事業として一人立ちして動いていき、一般家庭でも使えるようにしていきたいです。
近い将来必ず、VPPが有効に動いていかなければこれ以上再生可能エネルギーを導入するのが難しくなります。自分たちでどうやって上手にエネルギー作り、使用するのか主体となって考える必要があります。その中でも蓄電池は必要なパーツです。VPPにより他の自治体にある再生可能エネルギーを使用できるように連携ができます。VPPは、環境の事を考えて、火力発電を減らし、再生可能エネルギーを増やしていけるようになるのです。

(敬称略)

県内の電力自給率、ふじのくにバーチャルパワープラント、第1回「ふじのくにバーチャルパワープラント構築協議会」の様子

(取材者:平成28年入社 総務部 広報担当 日高)

後世につなぐ森林環境の保全と循環型社会に向けた取組

森林

環境と経済を両立して管理する認証森林の拡大に向け設立された「オクシズ森林認証協議会」様に森林認証を取得することによる静岡の今後の発展について伺ってまいりました。


オクシズ森林認証協議会 会長 吉澤修一さん


Qオクシズ森林認証協議会とは?

吉澤:当協議会は、静岡森林組合、清水森林組合、井川森林組合、静岡市及び静岡県が森林認証を共同で取得し森林認証面積の拡大を図るために平成29年8月28日に設立しました。環境に配慮した森づくりやオクシズ(静岡市の安倍奥、奥藁科、奥清水、奥大井)認証材の供給力を高めるとともに、世界水準の森林管理をオクシズから発信していきたいと考えています。

Qなぜ森林認証を取得するのか?

吉澤:外国では違法伐採がみられ、その木材が日本に輸入されることもあります。これを防ぐための証として、環境破壊をせずに森林管理をしている国際的に通用した森林認証制度があります。その認証を取得することで、住民や企業にも「環境に配慮した適切な管理がされている森林」であることをわかりやすく証明できます。
 天竜の方では10年前から森林認証取得に動いており、大面積の森林認証地帯があります。また、静岡市も県内で一番早く取得した若手林業経営者がいるなど、森林認証を取得した経験と認証基準に適合した管理技術、ノウハウや考え方が地域に蓄積してきており、それを今後は横に広げていく必要があるとみています。

Q森林認証材はどこで使用される?

吉澤:1つは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの新国立競技場の建築で森林認証材の使用を基本とされることから、そこで使用してもらうことを考えています。
 このオリンピック・パラリンピックを契機に大手ゼネコンや住宅メーカーが環境に配慮した木材を指定し、極力森林認証材を使用し始めるなど国民や木材需要者に認証材の理解が促進され、需要が一気に拡大する可能性があると見ています。
 もう1つとしては、戦後に建てられた建築物を建て替える時期が来ており、そこで環境に配慮した森林から作られる森林認証材の使用がもとめられると見込んでおります。

Q森林認証材使用のメリットは?

吉澤:違法伐採をして森林を荒廃させることとは違い、森林認証を受け適正に管理していることは生命に必要な水を育み、空気を浄化する大切な機能をつくっている事につながっています。そのことは使用した個人や企業も環境を守っていると言え、企業で言えばCSRにもつながります。
 また、森林がどのように管理され、消費者に使用されていくのかサイクルが明瞭になるため、子どもの教育上においてとてもわかりやすい仕組みを作ることができます。

Q森林認証材を広げる課題は?

吉澤:森林認証は森林管理する部門だけではなく、流通・加工などそれぞれの過程にあります。そのため、各々が認証を取得し、森林を管理する側と加工する側が協同で森林認証材を消費者に提案し、循環していかなければなりません。循環させるためには、初めに森林認証を知って頂き、いかに共有できる人をつくっていくのかが課題です。市民の方々に適正な森林管理をすることで森林環境の保全や循環型社会の形成につながることを説明しても、ないがしろにされ、理解されずらいと思います。そうならないために国際的な基準に照らして毎年審査を受けた「森林認証」を取得していると客観性を持って言えることで理解を頂くことができると思います。そこから使用者が増え、山の環境が良くなる循環につながると思います。
 また、オクシズ認証材が必要であるときに供給できないことには意味がないので、供給力をアップすることは緊急の課題です。そのためには森林認証材の面積を増やして安定供給をできるようにしなければなりません。

Qオクシズ認証材を拡大してどのような静岡を目指すのか?

吉澤:段々森林への理解が行き渡ると、この柱一本でも環境に配慮され、綺麗な湖をつくり、60年かかってできた森によって作られたものであるとみんなが関心を抱くことでき、とってもいいサイクルが出来ます。そのサイクルを循環させることで決して利益追求だけではなく、後世の人にも良い森林・自然環境を残すための必須の条件として起用していくといいと思います。

認証材のことや静岡の木材関係についてご相談承りますので、

オクシズ森林認証協議会 事務局
静岡森林組合 業務部 窪田
TEL:054-278-3141
までお問い合わせください。
(敬称略)

浸け場、大きさの選別、最盛期の養鰻場

(取材者:平成28年入社 総務部 広報担当 日高)

「静岡うなぎ漁業協同組合」による「ウナギといえば静岡」を取り戻すためにウナギを守る取組

ウナギ


古くから静岡でウナギを取り扱う「静岡うなぎ漁業協同組合」様に名産地である静岡県でのウナギの現状や問題にはどのようなことがあるのか伺ってまいりました。

静岡うなぎ漁業協同組合 総務部 部長 工藤裕和さん


Q静岡うなぎ漁業協同組合では何をしている?

工藤:当組合では、養殖されたウナギの加工、販売をしています。焼津養鰻漁業協同組合、大井川養殖漁業協同組合、丸榛吉田うなぎ漁業協同組合、中遠養鰻漁業協同組合浜4つの組合が合併してできています。組合を経由しているものは、主に地元で採捕された正しく申告したシラスウナギを取り扱っています。静岡県では当組合と浜名湖養魚漁業協同組合に属している生産者だけがシラスウナギを養殖生産用種苗として供給できるように県より許可を得ています。
 当組合では、日本では唯一ウナギを浸場で一昼夜地下水に浸して、泥吐きをしています。このことにより、泥臭やカビ臭のしないウナギになっています。また、当工場ではウナギをしっかり焼いて生臭さを消したおいしいウナギを生産しております。

Qこの地域はなぜウナギが盛んなのか?

工藤:ウナギの生産量は現在、鹿児島・愛知・宮崎・静岡と静岡県は4位です。昭和52年頃までは、静岡県がうなぎの生産高1位を誇っており、吉田町は、一面池に囲まれ、ウナギの養殖が盛んでした。その理由は、この地域でシラスウナギが昔からたくさん採れることにあります。また、大井川水系の地下水に恵まれ、いい水が豊富にあることが挙げられます。さらに、焼津という巨大な漁業基地があり、魚の頭や商品にならない雑魚が出るため、新鮮ないい餌を与えられた事で、ウナギ養殖が盛んになりました。

Qなぜ静岡での生産が減った?

工藤:昭和45年頃に原因不明のえら腎炎が大流行し、数多くの池でウナギが全滅しました。そのため、ウナギの養殖が難しくなり、ウナギの育成に見切りをつけて池を埋めてしまう人も出てきました。ピーク時は吉田町で420軒、大井川町で100軒ほど生産者がいましたが、現在では日本国内全体を見ても生産者は500軒程になります。こういったリスクを分散させる為に、広い池に壁を設けて区分けしたり、ハウス池といってビニールハウスのように池を覆ったり対策を行っています。

Q環境の変化がウナギに影響を与えている?

工藤:天然のウナギは河川に生息しています。河川では、水害が起こらないようにコンクリ―トを固めていることがウナギの住みにくい環境を作っています。また、河川の水量が減っていることからウナギが隠れられず、上空から鳥に捕らえられ、食べられてしまうことも大きく関わっていると思います。また、水が少なくなり、水の流れが悪くなった結果、酸素が減少してウナギが生き延びられなくなってしまっています。

Qウナギを守るためにどのような対策をしている?

工藤:これらの対策として、川にウナギの隠れ家となる石蔵かごをいろんな地域で設置しています。定期的にモニタリングしており、ウナギが定着していることがわかっています。
 今、販売を目的とするウナギの養殖は、誰もがやれるわけではなく農林水産大臣の許可がなければできません。また、シラスウナギを池に入れる量の上限を設けて資源管理をしています。ウナギ資源の持続的利用を確保していくため、静岡県は生産量を33%も落としているのです。
 ウナギが減少しているなら食べなければいいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうするとウナギを調理する技術者も生産者もいなくなります。後世にウナギの文化が続かなくなってしまいます。そうならないためには、採る量を減らしながら生産していくことが大事になります。しかしまだウナギには謎が多く、実際に採捕量を減らしたり、放流をしたりすることによりウナギが増えているのか分かっていませんが、ここ3年くらいの静岡ではそこそこウナギが採れ、順調です。

Qワシントン条約で規制がかかるとどうなるのか?

工藤:次回のワシントン条約でシラスウナギの輸入に規制がかかってしまうと国内で採れたものを国内でしか流通できなくなり限られた人にしか行き渡らなくなってしまいます。これを回避することは重要になってきます。しかし仮に規制がかかったとしても、輸入に頼らずに静岡では稚魚がたくさん採れます。静岡はウナギの創業の地であり、昔のように「ウナギの産地といえば、静岡。」というイメージがまたクローズアップされて、根付くのではないかとポジティブに考えています。

(敬称略)

浸け場、大きさの選別、最盛期の養鰻場

(取材者:平成28年入社 総務部広報担当 日高)

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