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バーチャルパワープラントで電力を節約

VPP

電力自由化や電力システム改革が進み、IoTが進化してきていることでバーチャルパワープラント(VPP)を実現できる環境が整いつつあります。今回は注目が高まっているVPPについて特集してまいります。

IoTとは?

 IoTとは、様々な物がインターネットに接続され、情報交換することにより相互に制御する仕組みです。(※図1)
IoTが進化することで、家庭で使うエネルギーを節約するための管理システム(HEMS)やビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)や、蓄電池の郡制御、自動制御などが可能になり、地域でエネルギーを有効活用する次世代の社会システム「スマートコミュニティ」の実現につながります。

バーチャルパワープラント(VPP)とは?

 

 多数の小規模な発電所や、電力の需要抑制システムをIoTにより一つの発電所のようにまとめて制御を行うことです。(※図2)「火葬発電所」や英語の頭文字を取って、「VPP]と呼ばれます。電力の自由化、そして電力分散化が進むヨーロッパを中心に、VPP事業を行う会社が立ち上がってきています。
以下3つの各取組を情報・通信技術を駆使したエネルギーマネジメント技術により統合制御します。
【1】再生可能エネルギー発電設備などの「創エネ」
【2】蓄電池等の「蓄エネ」
【3】デマンドレスポンス等需要家側の「省エネ」

VPPのメリット

一つ一つは小規模な発電施設や制御システムでも、それらを最新のIT技術によって連動させることで、電力網の需要バランスを最適化できます。大規模な発電施設に投資する必要がなく、建設が安く済み、整備も比較的簡単な小規模の発電施設を効率的に利用できるため、経済的です。
また、多くの発電量を一つの大きな発電所に頼っていると事故が起きたときに電気の供給が途絶えるなど被害が及びますが、電力を分散化することによって被害も減ります。
 さらに、VPPが活用できるのは、小規模の発電施設だけではなく、電力の抑制システムにも該当します。たとえば、ある時間帯に電力の需要が一気に増え、10万kWhの電力が不足したとします。その場合、電力会社では、臨時である発電所を稼働させてその電力を埋め合わせるのが一般的です。しかし、VPPを活用できれば、その時間帯に電気を節約できる家庭や企業などから少しずつネガワット(企業や家庭が節電することにより生み出された電力)を回収し、それを不足した10万kWhの電力に充てられます。そして、電力会社は一時的な電力需要を満たすための予備の発電施設を持たなくていいことになり、建設費や整備費を抑えられます。ネガワット取引は節電した分、報酬が支払われるため企業や家庭にもメリットがあります。
 VPPによって、系統電力への負担を軽減させ、再生エネルギーの導入の拡大を容易にします。そうするとCO2の削減など環境への負担を軽減させ、電力の安定供給の確保を実現ができます。
VPPには、

    • 再生可能エネルギーの導入拡大
    • 更なる省エネルギー
    • 負荷平準化

が進むというメリットがあるのです。

VPPを活用した今後の展開

 IoT、ビッグデータ、AI、ロボットの技術は、全ての産業において、新たな変化をもたらす共通の基盤となる技術です。各分野における技術革新・製品やサービスに関する事業戦略と結びつくことで、全く新たな展開となっていくことでしょう。また、エネルギー資源問題からの解放や環境問題の解決など、それら技術革新により大きな変化が起こる可能性もあります。さらに、家庭内機器のIoTの進化により、電力使用量を見える化し、負荷の制御をきめ細かく行うことで、電力消費量の最適化を実現できます。それにより総合的なエネルギー需給管理を行う「スマートコミュニティ」が実現できるのです。

IoTサイクルの基本的なビジネス、VPPのイメージ図

静岡県では、民間と協力して独自の「ふじのくにバーチャルパワープラント」の構築を進めています。ふじのくにバーチャルパワープラントにはどのような特徴があり、今後静岡にどのような効果をもたらすのでしょうか。特集2で静岡県に取材してまいりました。

静岡県によるエネルギーの地産地消を推進し、地域経済を活性化する取組

富士山

静岡独自のVPPの構築のために静岡県が動き出しています。静岡県ではどのような特徴のVPP構築を目指しているのでしょうか。


静岡県経済産業部産業革新局エネルギー政策課長黒田健嗣さん


QふじのくにVPPとは?

黒田:静岡県では「エネルギーの地産地消」を「地域経済の活性化」にどう結び付けていくかをエネルギー総合戦略として策定しています。その中の戦略
①「創エネ」分散型エネルギーの導入拡大
②「省エネ」色んな省エネに取り組む
③「経済活性化」地域企業さんによるエネルギー関連産業への参入促進
この三つを柱にした計画の一つにふじのくにVPPの構築が位置づけられています。 現在、県内で必要な電力は県内で20%しか作られていません。そのため、県外から8割も電気をもらっています。太陽光発電などの出力を安定させられるようにVPPを導入し、再生可能エネルギーの導入拡大を目指しています。
また、災害時に大きな発電所が止まり、すべての電気が止まるのを防ぐため、再生可能エネルギーを中心にリスク分散した小規模分散型のものを作っていくことを目指しています。

QふじのくにVPPの仕組みは?

黒田:アグリゲーター(集める人)が発電設備や需要家が今どれだけ電気を発電し、使用しているかという情報をリアルタイムで収集し、抑えるべきところ、上げるべきところの指令を出し、IoTの技術で遠隔操作をしてコントロールします。電気を作る方と使う方で上手く蓄電池を組み合わせ、双方で電力を安定化させます。例えば、太陽光発電設備がたくさん発電している時には、蓄電池に貯め、足りなくなった時には蓄電池から取り出します。新電力への移行を契機に「スマートメーター」という今の電気の使用量がインターネット経由で情報として吸い上げられる機械が広まっています。これが現実となり、その仕組みが出来るようになっています。また、蓄電池自体も外からの指令で操作できる技術ができてきています。

QふじのくにVPPとは?

黒田:電気の基本料金はピーク時の電気使用量と全体の電気使用量によってランクが決まります。そのため、ピーク時に電力会社から電気を買わずに蓄電池に貯めておいたものを使用すれば、電気を買う必要が無くなり、ピーク時の電力量を削減できます。結果、電気代の基本料金を減らせ、無駄な電気の使用を減らす指示も受けるため節電にもなります。
再生可能エネルギー発電事業者や電気を売っている小売電気事業者も蓄電池に電気を貯めておけるため、太陽光発電などの電源の安定化によって電気の受け入れを制限されることがなく、想定していた電力の調達が可能になります。また、ピーク時に稼働しなければならない火力発電所のような予備の発電設備を所有するのに費用がかかりますが、再生可能エネルギーで調整すれば、供給コストの低減にもなります。
更に、新しいシステムのために色んな製品、技術の使用により機器メーカーや工事業者も仕事が増え、地域事業者の雇用創出にも繋がります。色んな人にメリットがあるのです。

Q今後の動きは?

黒田:9月末に「ふじのくにバーチャルパワープラント構築協議会」を立ち上げ、一回目の会合を行いました。そのメンバーとして、有識者や県内の23市町、中部電力などの関連事業者などに入ってい頂いています。今年、協議会の検討と合わせて、県内にどういう設備がどこにあり、そこで電気使用量の時刻変動をデータで集め、どのような仕組でコントロールすると効果が大きいかを調査します。また、どの様なところに設備を設けられるのか、継続でき、事業性があるかについても調査します。
来年度以降には実証し、将来的に一つの事業として一人立ちして動いていき、一般家庭でも使えるようにしていきたいです。
近い将来必ず、VPPが有効に動いていかなければこれ以上再生可能エネルギーを導入するのが難しくなります。自分たちでどうやって上手にエネルギー作り、使用するのか主体となって考える必要があります。その中でも蓄電池は必要なパーツです。VPPにより他の自治体にある再生可能エネルギーを使用できるように連携ができます。VPPは、環境の事を考えて、火力発電を減らし、再生可能エネルギーを増やしていけるようになるのです。

(敬称略)

県内の電力自給率、ふじのくにバーチャルパワープラント、第1回「ふじのくにバーチャルパワープラント構築協議会」の様子

(取材者:平成28年入社 総務部 広報担当 日高)

世界に通用する質の高い森林づくり

森林

世界有数の森林国

 日本の森林は約2500万haあり、そのうち約1300万ha(約5割)が天然林、1000万ha(約4割)が人工林、残りが無立木地、竹林などです。国土面積に占める森林面積は約66%(森林率約7割)で、先進国の中ではフィンランド、スウェーデンに次いで3番目の有数の森林大国です。

森林の役割

 日本の森林はいくつかの観点に区分されています。いずれの森林も、人の手による管理、保全、経営などのサポートが必要です。例えば、木材や林産物を持続的に生産するためには、「植林→育成→収穫→植林・・・」というサイクルを正常に循環させる必要があります。
 また、無計画な伐採による森林破壊、盗伐、病害虫、山火事などから森林を守ることや貴重な自然や生物多様性を保護したり、地球温暖化防止、水源かん養、山崩れ防止などの公益的機能(=森林が人へもらたらす恩恵)が維持できるように、人の手で管理・保全したりしていく必要があります。森林は、木材などバイオマス資源の生産の場や狩猟の場であり、キノコ、木の実・果実などの食糧生産の場でもあります。生命に不可欠な水を蓄え、ゆっくりと時間をかけて水質を浄化しながら、絶えることなく供給してくれるのも森林です。森林は土壌に根を張り土砂崩壊等も防いでくれます。また、国土を災害から守り、私たちが安全で快適な生活を送るために欠かせない環境を整え、維持してくれるのです。
 そして、最近注目されているのは、森林の木々が、大気中の二酸化炭素を吸収し、木々の幹内や根などに貯蔵する機能です。森林は日本の温室効果ガスの吸収源として大きな役割を担っています。
 これらの森林の持つ機能を貨幣換算すると、森林の評価額は年間で約70兆円とされています。私たち日本人は、古来より森林の恩恵を受けながら生活してきたのです。

日本の森林の現状

 戦後、日本は復興等のため木材の需要は急増し、供給が十分に追いつきませんでした。そこで政府は急増に植林を行う政策をとりました。しかし木が成長し、木材として使用できるようになるためには、少なくとも40年程度の期間が必要です。その間に、比較的安く、一度に大量に入手できる外国の木材が多く使われるようになりました。今、拡大造林の時に植林したスギやヒノキなどが成熟し、収穫期を迎えています。しかし、日本では木材の8割は輸入材を使っています。日本の木は使うべき時を迎えているにも関わらず使用されずに放置されている森林資源が目立つようになりました。(※図1)国産材の需要低下に伴い、森林を手入れする費用も賄えず、荒廃している森林も少なくありません。海外の中には違法な伐採が行われているところもあり、日本に違法伐採された安い木材が輸入されると、自国での林業が困難になります。

森林認証制度とは?

 森林破綻の原因となる違法伐採等を防ぐために、独立した第三者機関が環境と経済の側面から一定の基準をもとに適切な森林管理を認証する「森林認証制度」があります。この制度は認証を取得した木材・木材製品を流通させることで、消費者の選択的な購買を通じて、持続可能な森林経営を支援する仕組みになっています。認証には、森林管理を対象としたFM認証と山林から製材、加工、建築設計及び工事までの流通加工を対象としたCoC認証の2種類があります。(※図2)

森林認証取得のメリット

 環境に配慮した持続可能な森林経営を行っていること、こうした森林経営のもとで産出された木材等を販売・使用していることについて社会的に認知されることで、企業としての環境配慮姿勢やCSRへの取り組みをアピールできます。また、認証森林から産出されるラベリングされた製品を使用することにより、自社製品の差別化が図られ、環境配慮商品として消費者にアピールできるなど、付加価値を高めることができます。もちろん、認証森林から産出された製品等を販売・使用することで、森林保護の支援や地球環境の保全にも貢献できます。

森林成長量と木材生産量の推移 森林認証制度

静岡県では、森林認証の取得に前進される「オクシズ森林認証協議会」が設立されました。当協議会ではどのような森林認証の取得をし、今後どのような静岡の森林環境を目指されているのでしょうか。特集2で取材してまいりました。

後世につなぐ森林環境の保全と循環型社会に向けた取組

森林

環境と経済を両立して管理する認証森林の拡大に向け設立された「オクシズ森林認証協議会」様に森林認証を取得することによる静岡の今後の発展について伺ってまいりました。


オクシズ森林認証協議会 会長 吉澤修一さん


Qオクシズ森林認証協議会とは?

吉澤:当協議会は、静岡森林組合、清水森林組合、井川森林組合、静岡市及び静岡県が森林認証を共同で取得し森林認証面積の拡大を図るために平成29年8月28日に設立しました。環境に配慮した森づくりやオクシズ(静岡市の安倍奥、奥藁科、奥清水、奥大井)認証材の供給力を高めるとともに、世界水準の森林管理をオクシズから発信していきたいと考えています。

Qなぜ森林認証を取得するのか?

吉澤:外国では違法伐採がみられ、その木材が日本に輸入されることもあります。これを防ぐための証として、環境破壊をせずに森林管理をしている国際的に通用した森林認証制度があります。その認証を取得することで、住民や企業にも「環境に配慮した適切な管理がされている森林」であることをわかりやすく証明できます。
 天竜の方では10年前から森林認証取得に動いており、大面積の森林認証地帯があります。また、静岡市も県内で一番早く取得した若手林業経営者がいるなど、森林認証を取得した経験と認証基準に適合した管理技術、ノウハウや考え方が地域に蓄積してきており、それを今後は横に広げていく必要があるとみています。

Q森林認証材はどこで使用される?

吉澤:1つは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの新国立競技場の建築で森林認証材の使用を基本とされることから、そこで使用してもらうことを考えています。
 このオリンピック・パラリンピックを契機に大手ゼネコンや住宅メーカーが環境に配慮した木材を指定し、極力森林認証材を使用し始めるなど国民や木材需要者に認証材の理解が促進され、需要が一気に拡大する可能性があると見ています。
 もう1つとしては、戦後に建てられた建築物を建て替える時期が来ており、そこで環境に配慮した森林から作られる森林認証材の使用がもとめられると見込んでおります。

Q森林認証材使用のメリットは?

吉澤:違法伐採をして森林を荒廃させることとは違い、森林認証を受け適正に管理していることは生命に必要な水を育み、空気を浄化する大切な機能をつくっている事につながっています。そのことは使用した個人や企業も環境を守っていると言え、企業で言えばCSRにもつながります。
 また、森林がどのように管理され、消費者に使用されていくのかサイクルが明瞭になるため、子どもの教育上においてとてもわかりやすい仕組みを作ることができます。

Q森林認証材を広げる課題は?

吉澤:森林認証は森林管理する部門だけではなく、流通・加工などそれぞれの過程にあります。そのため、各々が認証を取得し、森林を管理する側と加工する側が協同で森林認証材を消費者に提案し、循環していかなければなりません。循環させるためには、初めに森林認証を知って頂き、いかに共有できる人をつくっていくのかが課題です。市民の方々に適正な森林管理をすることで森林環境の保全や循環型社会の形成につながることを説明しても、ないがしろにされ、理解されずらいと思います。そうならないために国際的な基準に照らして毎年審査を受けた「森林認証」を取得していると客観性を持って言えることで理解を頂くことができると思います。そこから使用者が増え、山の環境が良くなる循環につながると思います。
 また、オクシズ認証材が必要であるときに供給できないことには意味がないので、供給力をアップすることは緊急の課題です。そのためには森林認証材の面積を増やして安定供給をできるようにしなければなりません。

Qオクシズ認証材を拡大してどのような静岡を目指すのか?

吉澤:段々森林への理解が行き渡ると、この柱一本でも環境に配慮され、綺麗な湖をつくり、60年かかってできた森によって作られたものであるとみんなが関心を抱くことでき、とってもいいサイクルが出来ます。そのサイクルを循環させることで決して利益追求だけではなく、後世の人にも良い森林・自然環境を残すための必須の条件として起用していくといいと思います。

認証材のことや静岡の木材関係についてご相談承りますので、

オクシズ森林認証協議会 事務局
静岡森林組合 業務部 窪田
TEL:054-278-3141
までお問い合わせください。
(敬称略)

浸け場、大きさの選別、最盛期の養鰻場

(取材者:平成28年入社 総務部 広報担当 日高)

絶滅の恐れのあるウナギ

ウナギ

二ホンウナギは絶滅危惧種に指定され、今後規制対象となり、シラスウナギ(ウナギの稚魚)も製品も輸出入が難化し、日本の食卓にも大きな影響が出る可能性があります。ウナギとはどのような生物でどのような現状があるのかについて迫ります。


ニホンウナギとは?

世界各地に19種類のウナギが確認されています。そのうち、日本で流通しているウナギはニホンウナギを含めヨーロッパウナギ、アメリカウナギ、ビカ―ラウナギの4種。いずれも絶滅危惧種に指定されています。
 ニホンウナギは、5~15年間、河川や河口域で生活した後、海へ下り、日本から約2,000Km離れたマリアナ諸島付近の海域で産卵します。産卵場が特定されたのは、平成23年2月であり、依然として生態に不明な点が多くあります。ウナギは甲殻類や小魚を食べるなど食物連鎖における上位に位置します。日本在来の魚食魚の種類は少ないので、ウナギは水域生態系において重要な機能を持つ鍵となる生物ではないかと考えられています。


ニホンウナギの今後

国際自然保護連合(IUCN)は2014年6月、ニホンウナギを絶滅危惧1B類として「レッドリスト(正式名称:絶滅のおそれのある種のレッドリスト」に掲載しました。(※図1)レッドリストに法的な拘束力はありませんが、希少な野生動植物の国際取引を規制する「ワシントン条約締約国際会議」で、参考にされる可能性が高いです。2019年のワシントン条約締約国会議では、日本で大量に消費されているニホンウナギが規制対象となる懸念されています。ニホンウナギの大半は、天然のシラスウナギを採捕して育てたものであり、ワシントン条約の規制対象となれば、稚魚も製品も輸出入が難しくなり、日本の食卓に影響が出ます。

ニホンウナギの採捕量

冬季に日本各地の河口域に入ってきたシラスウナギはシラス漁業により採取されます。シラスウナギの採捕量は、平成22年漁期~平成24年漁期の3漁期連続して不漁となり、池入れ量が大きく減少しました。平成26年漁期の漁模様がやや良好でありましたが、ニホンウナギの資源が回復したと判断すべきではなく、引き続き、資源管理や生息環境の改善の取組を進めることが必要です。シラスウナギの国内採捕量には年変動があり、不足は輸入で補っています。平成24年漁期及び平成25年漁期はニホンを含む東アジア全域でシラスウナギの採捕量が減少したため、池入数量が大幅に減少し、取引価格は高騰しました。(※図2)
 このようなことから、今後ともニホンウナギを利用する日本、中国、韓国、台湾間で取り決めた池入れ量の制限を適切に実施するとともに、シラスウナギ採捕、ウナギ漁業についても、資源管理の対策が一層進むよう対応を推進しています。

ウナギの減少の原因

ウナギの減少要因として、海洋環境の変動、ウナギやシラスウナギの過剰な採捕、生息環境の悪化が指摘されています。また、河川では流路を遮断する河口堰やダムなどの人工構造物が設置されるとウナギの移動ができなくなります。このような場所では水質が悪化し、餌生物が減少することも指摘されています。

ウナギの資源管理

ウナギについては、生態に不明な点が多いものの、減少要因を改善するために実行可能な対策を総合的に実施されています。
 シラスウナギは、どこで誰が採捕し、それが誰に売られたとしても、最終的には全て養鰻業者の養殖池に入れられます。このため、養鰻業者の池入数量をしっかりと管理することによって、ニホンウナギの資源管理をしています。一方、採捕許可を出したり、出荷先の制限をしたりしている都道府県知事としては、採捕量や採捕から池入れまでの流通の状況を正しく把握する努力が求められるところです。
 このため、水産庁では、平成28年秋から都道府県知事によるシラスウナギの特別採捕許可において、
【1】密漁対策を含めた現場での監視や確認の強化のための写真付き証明書の発行、ワッペンや帽子等の着用の義務化
【2】適切な採捕数量の報告を徹底させるための許可取り消し等の未報告者への処分の強化
などの対策を講じるよう都道府県に助言しています。

 河川と湖沼におけるウナギ採捕量は40年間にわたりいずれも減少を続けています。ウナギの生息数の動向が採捕量に正確に反映されるかどうかは分かりません。しかし、ウナギ漁業の実態や天然ウナギが高価であることなどを考慮すると、採捕量と同じく生息数も減少傾向にあるのではないかと考えられます。

国際自然保護連合レッドリストの分類とシラスウナギ採捕量の推移

ウナギの名産地である静岡県でのウナギの現状や問題にはどのようなことがあるのでしょうか。特集2で「静岡うなぎ漁業協同組合」様に取材してまいりました。

「静岡うなぎ漁業協同組合」による「ウナギといえば静岡」を取り戻すためにウナギを守る取組

ウナギ


古くから静岡でウナギを取り扱う「静岡うなぎ漁業協同組合」様に名産地である静岡県でのウナギの現状や問題にはどのようなことがあるのか伺ってまいりました。

静岡うなぎ漁業協同組合 総務部 部長 工藤裕和さん


Q静岡うなぎ漁業協同組合では何をしている?

工藤:当組合では、養殖されたウナギの加工、販売をしています。焼津養鰻漁業協同組合、大井川養殖漁業協同組合、丸榛吉田うなぎ漁業協同組合、中遠養鰻漁業協同組合浜4つの組合が合併してできています。組合を経由しているものは、主に地元で採捕された正しく申告したシラスウナギを取り扱っています。静岡県では当組合と浜名湖養魚漁業協同組合に属している生産者だけがシラスウナギを養殖生産用種苗として供給できるように県より許可を得ています。
 当組合では、日本では唯一ウナギを浸場で一昼夜地下水に浸して、泥吐きをしています。このことにより、泥臭やカビ臭のしないウナギになっています。また、当工場ではウナギをしっかり焼いて生臭さを消したおいしいウナギを生産しております。

Qこの地域はなぜウナギが盛んなのか?

工藤:ウナギの生産量は現在、鹿児島・愛知・宮崎・静岡と静岡県は4位です。昭和52年頃までは、静岡県がうなぎの生産高1位を誇っており、吉田町は、一面池に囲まれ、ウナギの養殖が盛んでした。その理由は、この地域でシラスウナギが昔からたくさん採れることにあります。また、大井川水系の地下水に恵まれ、いい水が豊富にあることが挙げられます。さらに、焼津という巨大な漁業基地があり、魚の頭や商品にならない雑魚が出るため、新鮮ないい餌を与えられた事で、ウナギ養殖が盛んになりました。

Qなぜ静岡での生産が減った?

工藤:昭和45年頃に原因不明のえら腎炎が大流行し、数多くの池でウナギが全滅しました。そのため、ウナギの養殖が難しくなり、ウナギの育成に見切りをつけて池を埋めてしまう人も出てきました。ピーク時は吉田町で420軒、大井川町で100軒ほど生産者がいましたが、現在では日本国内全体を見ても生産者は500軒程になります。こういったリスクを分散させる為に、広い池に壁を設けて区分けしたり、ハウス池といってビニールハウスのように池を覆ったり対策を行っています。

Q環境の変化がウナギに影響を与えている?

工藤:天然のウナギは河川に生息しています。河川では、水害が起こらないようにコンクリ―トを固めていることがウナギの住みにくい環境を作っています。また、河川の水量が減っていることからウナギが隠れられず、上空から鳥に捕らえられ、食べられてしまうことも大きく関わっていると思います。また、水が少なくなり、水の流れが悪くなった結果、酸素が減少してウナギが生き延びられなくなってしまっています。

Qウナギを守るためにどのような対策をしている?

工藤:これらの対策として、川にウナギの隠れ家となる石蔵かごをいろんな地域で設置しています。定期的にモニタリングしており、ウナギが定着していることがわかっています。
 今、販売を目的とするウナギの養殖は、誰もがやれるわけではなく農林水産大臣の許可がなければできません。また、シラスウナギを池に入れる量の上限を設けて資源管理をしています。ウナギ資源の持続的利用を確保していくため、静岡県は生産量を33%も落としているのです。
 ウナギが減少しているなら食べなければいいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうするとウナギを調理する技術者も生産者もいなくなります。後世にウナギの文化が続かなくなってしまいます。そうならないためには、採る量を減らしながら生産していくことが大事になります。しかしまだウナギには謎が多く、実際に採捕量を減らしたり、放流をしたりすることによりウナギが増えているのか分かっていませんが、ここ3年くらいの静岡ではそこそこウナギが採れ、順調です。

Qワシントン条約で規制がかかるとどうなるのか?

工藤:次回のワシントン条約でシラスウナギの輸入に規制がかかってしまうと国内で採れたものを国内でしか流通できなくなり限られた人にしか行き渡らなくなってしまいます。これを回避することは重要になってきます。しかし仮に規制がかかったとしても、輸入に頼らずに静岡では稚魚がたくさん採れます。静岡はウナギの創業の地であり、昔のように「ウナギの産地といえば、静岡。」というイメージがまたクローズアップされて、根付くのではないかとポジティブに考えています。

(敬称略)

浸け場、大きさの選別、最盛期の養鰻場

(取材者:平成28年入社 総務部広報担当 日高)

手つかずで捨てられる「食品ロス」

食品廃棄物


食品ロスの現状

日本国内における年間の食品廃棄量は、食料消費全体の3割にあたる約2,800万トンです。このうち、売れ残りや期限を超えた食品、食べ残しなど、本来食べられたはずの、いわゆる「食品ロス」は約632万トンとされています。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量(平成26年で年間約320万トン)を大きく上回る量です。また、日本人1人当たりに換算すると、“お茶碗約1杯分(約136g)の食べ物”が毎日捨てられている計算となります。国連食糧農業機関からも「食品ロスの低減は、最も重要な優先事項である」と警告されています。


日本の自給率

日本は、餌になる穀物(トウモロコシなど)や肉そのものも海外から大量に輸入しています。これだけ輸入に頼っていると、仮に地球温暖化の影響などで世界的な不作となり、各国が食料安全保障上の観点から日本への輸出を絞れば、日本で大量の餓死者が出るかもしれません。ほぼ国内で食料自給ができていた江戸時代の総人口は約3,000万人です。今は生産性が2倍になっていると楽観的に想像しても、日本の人口が1.27億人(2016年)となると、約6,000万人分の食料が足りないということになります。現段階で日本のこどもの貧困率は13.9%(2015年)と、7人に1人の子どもが経済的に厳しい家庭で育っています。

食品ロスの発生源

なぜ食品ロスが発生するのでしょうか。廃棄量の内訳は事業系が715万トン、家庭系が1014万トンです。家庭においても食品ロス全体の約半数にあたる年間約302万トンが発生しています。食品を食べずに捨てた理由として多いのは、「鮮度の低下、腐敗、カビの発生」 「消費期限・賞味期限が過ぎた」などが挙げられています。家庭から出される生ごみの中には、手つかずの食品が2割もあり、さらにそのうちの4分の1は賞味期限前にもかかわらず捨てられているものです。(※図1)

賞味期限とは?

食品ロスの削減の工夫としては、「賞味期限」と「消費期限」の違いを知っておくことは大切になります。「賞味期限」はカップめん、冷凍食品、菓子など保存しやすい食品に定められる「食品をおいしく食べられる期限」のことです。ゆえに、「賞味期限」を過ぎても食べられます。それに対して「消費期限」は「食品を安全に食べられる期限」で、生菓子やコンビニ弁当など保存に適さない食品に定められています。

3分の1ルール

賞味期限の長い商品を棚の奥から引っ張り出す消費者の行動が食品業界に「3分の1ルール」(1990年代~)という独特な商慣習を生んでいます。これは、製造から賞味期限までの期間のうち、最初の3分の1の期間までしか小売店は受け付けず、賞味期限までの残り3分の1の期間を過ぎたら、店頭から撤去されるというルールです。
 たとえば1月1日を製造日とすると、そこから6ヶ月(6月30日)を賞味期限とします。そうすると、(※図2)のような「3分の1ルール」が生じます。 「“賞味期限切れ”の無駄」を指す場合、多くが「ロス発生4」を指します。しかし実態は、賞味期限内のロス発生1・2・3も存在しており、これらも非常に目立ちます。特に「ロス発生1」は多く発生しています。メーカーや卸売業者に返品された賞味期限内の食品は、もはや正規のルートでさばけず、結局廃棄されてしまうケースも多くあります。
 また、隠れた「ロス0」もあります。小売りからの要望があれば、メーカーや卸売業者は即応しなければならなりません。そのため、需要を予測してやや多めに生産します。しかし、需要予測は必ず当たるとは限らず、注文に達しないで、メーカーや卸売業者に止まったまま、永久に店へ出ない食品もあるのです。

手つかずで廃棄された食品の内訳と3分の1ルール

わたしたちが認識すべきこと

    • 世界の食糧援助量の約2倍をロスしているという事実を知る
    • 消費者は新しい賞味期限を追求せず、今すぐ食べるならば期限が早いものを選ぶ
    • 「賞味」はあくまでも「おいしく食べられる期限」であり、1日過ぎたからといってハムや牛乳が突然不味くはならない
    • 一番身近な小売り(お店)が 食品ロスを減らすための啓発活動の先頭に立つ


 食品ロスを少しでも減らすためにこれらを認識し、行動に移すことが大事です。この他にも、暮らしの中でわたしたちができる食品ロスを減らすための取り組みがあります。

静岡県では、食品ロス削減に向けて県民や事業者に意識啓発をするためにどのような活動が行われているのかでしょうか。特集2で「認定NPO法人フードバンクふじのくに」様に取材してまいりました。

「認定NPO法人フードバンクふじのくに」による   食品ロスを減らし困った人に食料を提供する取り組み

食品寄贈


日本には、明日の食にも事欠く人々がいます。その方々を食の面から支援する「認定NPO法人フードバンクふじのくに」は静岡でどのような活動をしているのでしょうか。

アドバイザー木下達夫さんとスタッフ金澤一輝さん


Qフードバンクの始まりは?

木下:食品ロスの問題と明日食べるものがないという生活困窮問題を接点として、食べられるにもかかわらず捨てられる食料を困っている人たちに提供していくため、2009年に静岡県労働者福祉協議会でフードバンクの研究会を立ち上げました。
 研究会には県内諸団体に参加いただき、協議を重ね2014年5月任意団体として活動を開始し、同年10月にはNPO法人の認証を受けました。そして今年3月静岡市より認定NPO法人の認定を受けるまでに至っています。

Qフードバンクふじのくにとは?

木下:フードバンクは、何らかの理由で生活困窮になった人たちへ食料を提供するため、個人や企業から食料を寄贈していただき求めに応じていく活動です。
 食料提供は、県内自治体や社会福祉協議会さらには福祉施設を通じて届けられています。
 このようにフードバンクの活動は、食料支援を通じて社会のセーフティーネットに貢献するところまで発展しつつあります。

Qどのような食料を受け取っている?

金澤:個人からは家庭で眠っている食料、食品企業からは外箱のつぶれや破損、生産過剰品、一般企業や自治体からは期限が迫ってきた防災備蓄品等、スーパーからはお客さんから募った食料等、農家からは古米など、「まだまだ安全に食べられ、捨てられてしまうであろう食料」です。

Qどのように食料は配布される?

金澤:何らかの理由で生活困窮になった人たちが自治体や社会福祉協議会等の相談窓口等に相談にいき、食料支援が必要と判断された場合、相談窓口等から当法人まで依頼が来ます。依頼を受ける際は、家族構成や健康状態等を確認し、それに基づいて食料を選択し、相談窓口等を通じて届けられています。食料の提供は原則3回区切りとなっており、給料日や福祉的支援を受けるまでの間をつなぐ緊急的な支援として利用されています。

Q気を付けていることは?

金澤:食の安全には気を付けています。寄贈された食料は、必ず目視による品質および賞味期限のチェックをして保管します。そして自治体等へ渡される際には出所の理解と転売しない・賞味期限内に使用する等適切な食料利用の規約をまとめた「配達記録書」を発行します。本書類にはどこから来た食料がどのくらいの量渡っているかが書かれており、食料に問題があった際にトレーサビリティを確保できます。
 また、万が一フードバンク活動を行う上で事故や怪我等が生じた時に適切に対応ができるように保険に加入しております。

Q食料の提供のメリットは?

金澤:そのままでは廃棄せざるを得ない食料が有効に活用でき、食品ロスの削減につながります。
 また、最近ではフードバンクの取組を企業のCSRとして取り入れイメージアップにつながる事例も出てきました。

Q現在の課題は?

木下:現段階では、県内のどこでも支援が受けられるように体制の整った拠点を持つことです。そのためには、自治体や社会福祉協議会との連携強化や市民に活動への理解をしていただくことが重要になります。こちらの誌面をお読みいただいた皆さんにも、ご協力いただければありがたいと思います。

Qわたしたちにできることは?

木下:事業の性質上収益が生まれるものではなく、運営費確保のため寄付が必要になります。そのほか食料の仕分けや運搬などのボランティア、賛助会員となって会費を納入いただく支援方法があります。
 詳細については、お手数おかけしますが、フードバンクふじのくにTEL:054-248-6177までお問い合わせください。        (敬称略)

食料保管倉庫、フードドライブ、利用者様からのお声

(取材者:平成28年入社 総務部広報担当 日高)

「環境の日」~世界の取り組み~

森林

6月5日は、「環境の日」です。「環境の日」には、どのようなことが行われたのでしょうか。そして私たちが考え、取り組むべきこととは何なのか。各地で行われた取り組みに迫ります。

環境の日及び環境月間とは

「環境の日」とは、昭和47年6月5日からストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念して定められたものです。国連では、日本の提案を受けて6月5日を「世界環境デー」と定めており、日本では「環境基本法」(平成5年)が「環境の日」を定めています。今年度は、低炭素社会・自然共生社会・循環型社会の形成と安心・安全の確保に向けた取組、東日本大震災・熊本地震からの復興・創生を推進します。平成3年度から6月の1ヶ月間を「環境月間」としており、6月中は、関係府省庁や地方公共団体などにより全国で様々な行事が行われました。関係府省庁・都道府県・政令指定都市・ 東京23区が実施する各種行事は、各府省(15省庁)352件、都道府県(47都道府県)740件、政令指定都市(20都市)242件、東京23区57件、合計1,430件です。(※図1) 

環境月間主な県別関連行事(※図1)

エコライフ・フェア2017

エコライフ・フェアは、毎年6月の環境月間に全国各地で展開される様々な行事の中の主たる行事の一つとして、平成2年以来、環境省、関係地方公共団体、関連法人、団体、企業、NGO 等が連携し、環境保全全般にわたる普及啓発活動を実施してきました。環境の一大イベントとして人気が高く、毎年7万人近い人が訪れます。今年は6月3日(土)及び4日(日)に、東京・渋谷の代々木公園で開催しました。「パリ協定発効!キミの「賢い選択」が地球の未来を切り拓く!! 」をテーマに、多彩なイベントが実施され、大勢の人でにぎわった2日間でした。ステージでは、山本公一環境大臣と“小型家電リサイクル応援マネジャー”を務める女優の芳根京子さんが、使用済み携帯電話などの小型家電から金銀銅などを回収し、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のメダルを作る「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」についてトークを行いました。また、東北の魅力発信!ご当地キャラとのクイズ大会やトヨタ自動車株式会社の新型プリウスPHVの展示など、環境について楽しみながら学び、体験できるブースも開かれました。その他の県でも、県特有の自然の恵みの価値を体験するエコツーリズムのイベントや田植え体験、不法投棄監視パトロールを実施するなど様々な取り組みが行われました。

世界が全体が動く 「世界環境デー」

世界各国でも、6月5日に環境保全の重要性を認識し、行動契機とするために様々な行事が行われています。World Environment Dayのサイトでは、国立公園や秘境の地など環境に関わるお気に入りの写真やビデオを自分自身の思い出をふまえて共有したり、(iNaturalist app)をダウンロードし、自分の裏庭で見つけた生物を撮影して所見を記録したりするだけで貴重な野生生物の追跡を助けるなどのイベントが掲載されています。また、今自分が気になっていることを他の人たちも簡単に関与できるイベントとして自発的に登録することもできます。

わたしたちがすべきこと

このように、環境の日や環境基本法、自然再生推進法等の自然保護活動を目的とした日や法律が定められています。(※図2)時代の流れによってまだまだ課題がありますが、この日に少し考えてみたり意識したりすることでも、環境をより良くすることができると思います。環境への配慮は国民の義務ではないものの、それに近い「責務」として位置づけられています。環境基本法は、国民に日常生活の中で環境への負荷の低減に自ら努めることを求めるとともに、国や地方自治体が実施する環境保全のための施策に協力すべきであるとしています。循環型社会や低炭素社会を実現するには、一人ひとりが環境に配慮した暮らしや活動を心掛ける必要があります。「環境の日」に限らず、環境によいことを進んで実践することが大切です。

環境の法律(※図2)

私たちの身近なところでは、環境の日や環境月間にどのような取り組みを行っているのでしょうか。特集2に環境日本一を目指す藤枝市の取り組みについて取材してきました。

市民・事業者・行政のチカラを結集して”環境日本一”を目指す藤枝市

藤枝市 環境水道部 環境政策課 環境政策担当係長 大塚拡さん

藤枝市は、“もったいない”をキーワードに誰もが環境問題に「気付き」「学び」「行動」をする“環境日本一”を目指しています。特に、6月の「環境月間」及び12月の「“もったいない”運動推進月間」には、この取組を強化しています。


Q環境日本一を目指しているのはなぜ?

大塚:藤枝市では、生活の基盤に直結する4つのK(「健康」「教育」「環境」「危機管理」)の日本一を目指した取組に力を入れています。
「環境」については、先人の知恵である“もったいない”の精神に学び、無駄の多い暮らし方を見直し、かけがえのない環境をより良いものとして次の世代に伝えることが、市民の安心安全な暮らしにつながります。
 藤枝市は、環境を守ることへ高い意識を持つ市民・事業者・行政が協力して、21種類ものごみの分別収集や様々な環境保全への取組を進めています。この協力体制を藤枝市の強みとして、これをさらに高めるための「人づくり」「場づくり」「しくみづくり」を行うことにより、誰もが環境に良い行動ができる“日本一の環境行動都市ふじえだ”を目指しています。


Q主にどのような取組をしているのか?

大塚:藤枝市の環境日本一に向けた取組は、「藤枝市“もったいない”運動」と称してごみの分別収集、再生可能エネルギーや省エネルギーの普及、環境に良い行動を進めるための教育や啓発を行っています。
ごみの分別収集では、資源・不燃ごみの分別の徹底と燃やすごみの減量を進めています。さらに、燃やすごみの多くを占める生ごみの分別回収を一部地域で実施しています。集められた生ごみは、チューサイグループの㈱エコライフアシストに肥料化を委託することにより、資源の有効活用や温室効果ガス削減などの環境負荷の低減を図っています。
再生可能エネルギーや省エネルギーの普及としては、環境月間である6月より、住宅用太陽光発電・太陽熱・家庭用燃料電池の設置への補助や、「節電アクションキャンペーン」「グリーンカーテンコンテスト」「ライトダウンキャンペーン」の呼びかけを開始しています。
環境に良い行動を進めるための主な取組としては、「エコマイスター育成事業」という環境に関する活動の輪を地域へ広げるリーダーの育成支援をしています。当事業では、環境の専門家による講義や施設見学に参加するとエコマイスターとして認定されます。
また、「環境フェスタ“もったいない”inふじえだ」を5月に開催しています。当フェスタは、市民団体や事業者とものを作ったり遊んだりする体験を通して、どういった環境行動をしているのかを紹介する場となっています。今年度は、5月20日に行われ、約6,700人もの市民の方々に参加していただきました。
さらに、“もったいない”運動推進月間である12月には、「“もったいない”市民のつどい」を開催しています。特に、12月の第3金曜日を「藤枝市“もったいない”アクションデー」として、「市内統一ノーカーデー」や「まち美化」など、環境行動を集中して実践する日としています。
環境に関して活躍意欲のある方は、まずは環境フェスタや市民のつどいに足を運んでみたり、エコマイスター育成事業に参加して、環境の知識や経験を持っていただきたいと思います。


Q子どもたちに向けた取組は?

大塚:環境意識を小さい頃から身に付けて頂くことが、とても大切なことだと思っています。
小学4年生を対象に、「もったいない電気みっけ隊」の隊員として家の電気使用量の確認や、“もったいない”をテーマとしたポスターコンクールを行っています。また、小中学校では、緑のカーテンを設置したり、アルミ缶回収・残飯を無くすなどの「“もったいない”アクション宣言」に取り組んでいただくなど、環境の大切さに気付くきっかけづくりをしています。今年度から実施する環境教育人材育成事業では、学校の環境教育の取組にあわせて、それに関連するパンフレットを提供したり、講師を派遣するなどの支援を行う予定です。
高校生に対しては、「次世代環境リーダー育成事業」を行っています。「藤枝市の環境について」をテーマに論文コンテストを行い、それにより選ばれた高校生を「高校生環境リーダー」として任命しています。彼らは、ハワイに行って自然エネルギーの先進的な政策を学んだあと、市民のつどいにて報告していただいています。この報告から新たに環境の知識を学べただけでなく、日本の方が進んでいる取組があることに気付くことができ、誇りを持って環境保全活動に取り組めるとの声がありました。
子どもたちには、これらの事業で学んだことを周囲の子どもたちと共有するなど、知識を生かして活躍していただきたいです。

Q事業者様が出来る取組は?

大塚:事業者様向けには、環境経営システム「エコアクション21」の導入を支援する「自治体イニシアティブプログラム事業」を商工会議所と共催していますので、積極的に参加していただきたいと思います。また、再生可能エネルギー設備や省エネルギー設備を導入する事業者様に向けた補助事業や取組事例を紹介するセミナーを行いますので、是非参加していただきたいと思います。

Q今後の課題は?

大塚:市民一人一人が環境への意識を広げる事が大切です。そのためには、人材育成にもっと力を入れて、環境をあまり意識していない人に意識してもらうようなきっかけを作ることが、一番取り組むべき課題です。
ごみの減量については、一人一日当たりのごみ排出量が全国でも4番目に少なくかなり進んでいますが、地球温暖化防止をよりいっそう進めるためには、生ごみを出さないことや分別の徹底が必要です。市民のみなさんには、どうしても出てしまう生ごみは水を切って分別していただくなどの工夫をしていただきたいです。また、事業者様においては、まだまだ燃やすごみを削減する余地があると思いますので、ご協力いただきたいと思います。
藤枝市環境基本計画では、目指す環境像として、市民・事業者・行政が協働して「人のチカラ」を結集して「“もったいない”を実践する環境行動都市・ふじえだ」を築き上げることとしています。
 皆様には、環境を守るために出来ることから行動し、人から人に広げる取組をしていただくようお願いします。(敬称略)
(取材者:平成28年入社 総務部広報担当 日高理秀)


エコマイスター育成事業、環境フェスタ”もったいない”inふじえだ、高校生育成リーダーのハワイ研修の様子

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