未来を走る究極のエコカー

題名


自動車による公害問題

日本における自動車の普及はめざましく、米国、中国に次ぐ世界第3の自動車保有国となっています。しかし、国民生活を便利にするはずの自動車の使用は、大気汚染問題、水質・土壌問題等の地球環境への影響を及ぼします。これらの主な要因となっているのは、自動車の排出ガス(CO₂)です。自動車からのCO₂排出量は、日本全体の排出量の約2割を占めており、地球温暖化対策を推進するためには、自動車からのCO₂排出量を削減することが重要な課題となっています。(※図1)
自動車排気ガスによる被害の大きな特徴は、工場等から排出される煤煙に比べ、その範囲がきわめて広いことです。自動車は、「動く煙突」といわれるように、空間を自由に選択しながら移動します。一定の地点に固定された工場の煙突などに比べ、自動車排出ガスがきわめて広範囲に拡散されます。したがって自動車排出ガスは、道路や交差点に限らず、一般の家庭内にも侵入して住民の健康に悪影響を及ぼします。


2014年度日本の部門別二酸化炭素排出量の割合


わたしたちにできること

こうした事態を前にして、私たちは、自動車と人々の生活との関係について、再検討すべき段階に立っています。
その中でも環境に優しい車を選ぶことも私たちのできる取組みの一つです。昨今では、CO2の排出が少なく空気を汚さない様々な自動車の開発が進められています。その中でも、自動車の購入時に、企業や個人ドライバーがいかに環境(燃費)の良いものを選ぶかが注目を集めており、政府も補助金を出したり、税金を安くしたりするなどして低公害車の普及に努めています。最近は、一般的な自動車よりも燃料費がかからず、維持管理に手間もかからない乗る人にもやさしい自動車が次々と世に送り出されており、具体的には、ハイブリッド自動車、電気自動車などがあります。その中でも今後普及を推進されているエコカーの一つである、燃料電池自動車について取り上げます。(※図2)


FCVの仕組み

燃料電池自動車【FCV(Fuel Cell Vehicle)】とは?

搭載した燃料電池で水素と酸素の化学反応によってつくった電気により、モーターを回し、走行する自動車です。使用燃料には、長期的には水素が使用されると考えられていますが、水素は燃料供給などの面で課題があるため、現在はインフラの整備や取扱い、価格、効率などの面で、各種燃料を比較、検討している段階にあります。(※図3)


環境にやさしい自動車の種類と特徴

FCVの5つのメリット

水素は宇宙で一番豊富であると言われるクリーンなエネルギーです。その有力なエネルギーを利用したFCVには、5つのメリットがあります。
1つめは、有害な排出ガスがゼロ、または少ないことです。走行時に発生するのは水蒸気のみで、大気汚染の原因となる二酸化炭素(CO₂)や窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、浮遊粒子状物質(PM)がまったく排出されません。 また、ベンゼンやアルデヒドなどの有害大気汚染物質の排出もありません。(※ 水素を直接燃料として使用する直接水素方式のFCVの場合)
2つめは、エネルギー効率が高いことです。現時点で、ガソリン内燃機関自動車のエネルギー効率(15~20%)と比較して、2倍程度(30%以上)と非常に高いエネルギー効率を実現しています。 燃料電池自動車は、低出力域でも高効率を維持できるのが特長です。
3つめは、多様な燃料・エネルギーからの製造が可能なことです。天然ガスやエタノールなど、石油以外の多様な燃料が利用可能なため、将来の石油枯渇問題にも十分に対応でき、安定した供給が期待できます。また、太陽光やバイオマスなど、再生可能エネルギーで得た電気から水素を製造することにより、環境への負荷を軽減します。再生可能エネルギーの発電量は、自然に大きく左右されるため、変動が大きくなってしまいますが、発電した電気を水素に置換することで、エネルギーを貯蔵することができ、需要に応じた容易な輸送が可能となります。
4つめとしては、騒音が少ない事が挙げられます。燃料電池は電気化学反応によって発電するため、内燃機関自動車と比べて騒音が低減できます。 車内の快適さはもちろん、都市全体の騒音対策にも効果が期待されます。
5つめは、充電が不要なことです。長時間の充電が必要な電気自動車と違い、ガソリン内燃機関自動車と同様に短時間の燃料充填が可能です。 また、1回の充填による走行距離も電気自動車よりも長く、将来はガソリン内燃機関自動車と同程度になると考えられています。

水素エネルギーを燃料として考えられている燃料自動車。水素の燃料供給をするためには、水素ステーションが必要となってきます。その水素ステーションについて詳しくは、特集2で取材してきました。