手つかずで捨てられる「食品ロス」

食品廃棄物


食品ロスの現状

日本国内における年間の食品廃棄量は、食料消費全体の3割にあたる約2,800万トンです。このうち、売れ残りや期限を超えた食品、食べ残しなど、本来食べられたはずの、いわゆる「食品ロス」は約632万トンとされています。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量(平成26年で年間約320万トン)を大きく上回る量です。また、日本人1人当たりに換算すると、“お茶碗約1杯分(約136g)の食べ物”が毎日捨てられている計算となります。国連食糧農業機関からも「食品ロスの低減は、最も重要な優先事項である」と警告されています。


日本の自給率

日本は、餌になる穀物(トウモロコシなど)や肉そのものも海外から大量に輸入しています。これだけ輸入に頼っていると、仮に地球温暖化の影響などで世界的な不作となり、各国が食料安全保障上の観点から日本への輸出を絞れば、日本で大量の餓死者が出るかもしれません。ほぼ国内で食料自給ができていた江戸時代の総人口は約3,000万人です。今は生産性が2倍になっていると楽観的に想像しても、日本の人口が1.27億人(2016年)となると、約6,000万人分の食料が足りないということになります。現段階で日本のこどもの貧困率は13.9%(2015年)と、7人に1人の子どもが経済的に厳しい家庭で育っています。

食品ロスの発生源

なぜ食品ロスが発生するのでしょうか。廃棄量の内訳は事業系が715万トン、家庭系が1014万トンです。家庭においても食品ロス全体の約半数にあたる年間約302万トンが発生しています。食品を食べずに捨てた理由として多いのは、「鮮度の低下、腐敗、カビの発生」 「消費期限・賞味期限が過ぎた」などが挙げられています。家庭から出される生ごみの中には、手つかずの食品が2割もあり、さらにそのうちの4分の1は賞味期限前にもかかわらず捨てられているものです。(※図1)

賞味期限とは?

食品ロスの削減の工夫としては、「賞味期限」と「消費期限」の違いを知っておくことは大切になります。「賞味期限」はカップめん、冷凍食品、菓子など保存しやすい食品に定められる「食品をおいしく食べられる期限」のことです。ゆえに、「賞味期限」を過ぎても食べられます。それに対して「消費期限」は「食品を安全に食べられる期限」で、生菓子やコンビニ弁当など保存に適さない食品に定められています。

3分の1ルール

賞味期限の長い商品を棚の奥から引っ張り出す消費者の行動が食品業界に「3分の1ルール」(1990年代~)という独特な商慣習を生んでいます。これは、製造から賞味期限までの期間のうち、最初の3分の1の期間までしか小売店は受け付けず、賞味期限までの残り3分の1の期間を過ぎたら、店頭から撤去されるというルールです。
 たとえば1月1日を製造日とすると、そこから6ヶ月(6月30日)を賞味期限とします。そうすると、(※図2)のような「3分の1ルール」が生じます。 「“賞味期限切れ”の無駄」を指す場合、多くが「ロス発生4」を指します。しかし実態は、賞味期限内のロス発生1・2・3も存在しており、これらも非常に目立ちます。特に「ロス発生1」は多く発生しています。メーカーや卸売業者に返品された賞味期限内の食品は、もはや正規のルートでさばけず、結局廃棄されてしまうケースも多くあります。
 また、隠れた「ロス0」もあります。小売りからの要望があれば、メーカーや卸売業者は即応しなければならなりません。そのため、需要を予測してやや多めに生産します。しかし、需要予測は必ず当たるとは限らず、注文に達しないで、メーカーや卸売業者に止まったまま、永久に店へ出ない食品もあるのです。

手つかずで廃棄された食品の内訳と3分の1ルール

わたしたちが認識すべきこと

    • 世界の食糧援助量の約2倍をロスしているという事実を知る
    • 消費者は新しい賞味期限を追求せず、今すぐ食べるならば期限が早いものを選ぶ
    • 「賞味」はあくまでも「おいしく食べられる期限」であり、1日過ぎたからといってハムや牛乳が突然不味くはならない
    • 一番身近な小売り(お店)が 食品ロスを減らすための啓発活動の先頭に立つ


 食品ロスを少しでも減らすためにこれらを認識し、行動に移すことが大事です。この他にも、暮らしの中でわたしたちができる食品ロスを減らすための取り組みがあります。

静岡県では、食品ロス削減に向けて県民や事業者に意識啓発をするためにどのような活動が行われているのかでしょうか。特集2で「認定NPO法人フードバンクふじのくに」様に取材してまいりました。