「静岡うなぎ漁業協同組合」による「ウナギといえば静岡」を取り戻すためにウナギを守る取組

ウナギ


古くから静岡でウナギを取り扱う「静岡うなぎ漁業協同組合」様に名産地である静岡県でのウナギの現状や問題にはどのようなことがあるのか伺ってまいりました。

静岡うなぎ漁業協同組合 総務部 部長 工藤裕和さん


Q静岡うなぎ漁業協同組合では何をしている?

工藤:当組合では、養殖されたウナギの加工、販売をしています。焼津養鰻漁業協同組合、大井川養殖漁業協同組合、丸榛吉田うなぎ漁業協同組合、中遠養鰻漁業協同組合浜4つの組合が合併してできています。組合を経由しているものは、主に地元で採捕された正しく申告したシラスウナギを取り扱っています。静岡県では当組合と浜名湖養魚漁業協同組合に属している生産者だけがシラスウナギを養殖生産用種苗として供給できるように県より許可を得ています。
 当組合では、日本では唯一ウナギを浸場で一昼夜地下水に浸して、泥吐きをしています。このことにより、泥臭やカビ臭のしないウナギになっています。また、当工場ではウナギをしっかり焼いて生臭さを消したおいしいウナギを生産しております。

Qこの地域はなぜウナギが盛んなのか?

工藤:ウナギの生産量は現在、鹿児島・愛知・宮崎・静岡と静岡県は4位です。昭和52年頃までは、静岡県がうなぎの生産高1位を誇っており、吉田町は、一面池に囲まれ、ウナギの養殖が盛んでした。その理由は、この地域でシラスウナギが昔からたくさん採れることにあります。また、大井川水系の地下水に恵まれ、いい水が豊富にあることが挙げられます。さらに、焼津という巨大な漁業基地があり、魚の頭や商品にならない雑魚が出るため、新鮮ないい餌を与えられた事で、ウナギ養殖が盛んになりました。

Qなぜ静岡での生産が減った?

工藤:昭和45年頃に原因不明のえら腎炎が大流行し、数多くの池でウナギが全滅しました。そのため、ウナギの養殖が難しくなり、ウナギの育成に見切りをつけて池を埋めてしまう人も出てきました。ピーク時は吉田町で420軒、大井川町で100軒ほど生産者がいましたが、現在では日本国内全体を見ても生産者は500軒程になります。こういったリスクを分散させる為に、広い池に壁を設けて区分けしたり、ハウス池といってビニールハウスのように池を覆ったり対策を行っています。

Q環境の変化がウナギに影響を与えている?

工藤:天然のウナギは河川に生息しています。河川では、水害が起こらないようにコンクリ―トを固めていることがウナギの住みにくい環境を作っています。また、河川の水量が減っていることからウナギが隠れられず、上空から鳥に捕らえられ、食べられてしまうことも大きく関わっていると思います。また、水が少なくなり、水の流れが悪くなった結果、酸素が減少してウナギが生き延びられなくなってしまっています。

Qウナギを守るためにどのような対策をしている?

工藤:これらの対策として、川にウナギの隠れ家となる石蔵かごをいろんな地域で設置しています。定期的にモニタリングしており、ウナギが定着していることがわかっています。
 今、販売を目的とするウナギの養殖は、誰もがやれるわけではなく農林水産大臣の許可がなければできません。また、シラスウナギを池に入れる量の上限を設けて資源管理をしています。ウナギ資源の持続的利用を確保していくため、静岡県は生産量を33%も落としているのです。
 ウナギが減少しているなら食べなければいいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうするとウナギを調理する技術者も生産者もいなくなります。後世にウナギの文化が続かなくなってしまいます。そうならないためには、採る量を減らしながら生産していくことが大事になります。しかしまだウナギには謎が多く、実際に採捕量を減らしたり、放流をしたりすることによりウナギが増えているのか分かっていませんが、ここ3年くらいの静岡ではそこそこウナギが採れ、順調です。

Qワシントン条約で規制がかかるとどうなるのか?

工藤:次回のワシントン条約でシラスウナギの輸入に規制がかかってしまうと国内で採れたものを国内でしか流通できなくなり限られた人にしか行き渡らなくなってしまいます。これを回避することは重要になってきます。しかし仮に規制がかかったとしても、輸入に頼らずに静岡では稚魚がたくさん採れます。静岡はウナギの創業の地であり、昔のように「ウナギの産地といえば、静岡。」というイメージがまたクローズアップされて、根付くのではないかとポジティブに考えています。

(敬称略)

浸け場、大きさの選別、最盛期の養鰻場

(取材者:平成28年入社 総務部広報担当 日高)