コーヒーかすを有効利用し、エネルギーの無駄のない蓄電装置の開発

コーヒーかすを利用して開発した蓄電装置での発電

静岡県工業技術研究所 浜松工業技術支援センター 主任研究員 菊池圭祐様


Q静岡県工業技術研究所とは?

菊池:静岡市に工業技術研究所と沼津、富士、浜松に工業技術支援センターを配置し、県内産業界の技術支援をしたり、共同で研究開発を行ったりしています。県で運営しているため、当センターで技術の研究開発をすることにより、技術や試験に問題がないことを公的に示すことができます。また、最新の技術を提供したり、技術セミナーを行ったりしています。

Qなぜコーヒーかすを蓄電装置に?

菊池:ある廃棄物処理業者から県内で大量に排出されるコーヒーかすで燃料を作りたいという要望がありました。コーヒーかすは、油分を含み、木材の1.5倍のカロリーを有しているため、木を燃やすよりエネルギーがあります。しかし、そのまま燃やすと粉状のため、粉じんが出るなど取扱いがしづらいものになります。そのため、工業技術研究所では、コーヒーかすを円筒状のペレットにし、安価なバイオ固形燃料を開発しました。そこから、燃やして燃料にするだけではもったいないと考え、より付加価値のある多孔質な活性炭(電気を通す表面積が大きい材料)を作り始めました。
 平成23年から3年間、県のプロジェクト研究として3人のメンバーでコーヒーかすのみならず静岡で無駄にされている残さを有効利用する研究を始めました。

Q開発した蓄電装置の特徴は?

菊池:蓄電装置には、電池二重層キャパシタ(EDLC)という電池よりも急速に充放電ができ、ある程度電気を蓄えられる蓄電器を使用します。蓄電器の中でも「電池」は化学反応により電気を蓄えますが、「EDLC」は物理的な力により瞬時に電気を出し入れするため、劣化しにくく寿命が長い蓄電器です。例えば、蓄電器を使用することで車のブレーキを踏んだ時に無駄になるエネルギーを逃さずEDLCに回収し、ヘッドランプなど電気を使用する部品にエネルギーを回して電気の有効利用ができます。
 活性炭は、表面積が大きいほど電気を運ぶイオンが吸着するため、より多くの電気を蓄えることができます。そのため、コーヒーかすにたくさんの穴を空け、表面積を大きくする必要があります。普通の炭ですと、1g当たり10~100㎡程の比表面積がありますが、活性炭にすることで比表面積は、なんと1gで1,000㎡以上の比表面積(テニスコート4枚分)になります。1,000㎡あれば活性炭と言われていますが、当センターでは1,400㎡もの比表面積を出すことができます。

Q現在の課題は?

菊池:現在は、コーヒーかすの活性炭の利用が実証され、それを普及していく段階です。県内外で活性炭を使用する企業を探したり、各社のご要望に応えた活性炭を作ったり、研究段階では数グラムしかできないものを企業でも十分に使用ができるようにスケールアップしている所です。県内での活性炭の使用実績がないため、どういうところで使用できるのかまだ未知なところがあります。使い手と作る量の需要と供給のバランスを取りながらコーヒーかすの活性炭を普及をしなければなりません。

Qメリットは?

菊池:これまで一般には、ヤシ殻の活性炭をメインに木材やフェノール樹脂が使用されています。ヤシ殻は東南アジアから輸入しており、熱帯雨林を焼き払って栽培するため、環境に悪影響を及ぼします。また、国内の他に燃料として必要とする国があり、供給を増やせず、値段が不安定です。一方で、コーヒーかすは国内の資源を使用することになります。排出事業者が自らこのコーヒーかす活性炭を作り、様々な分野に応用することができれば、廃棄コストや収集運搬費をなくすだけでなく、新たな事業に展開できる可能性があります。

Qどのような用途が期待できるか?

菊池:蓄電装置は、雷などで瞬時に停電した時の電力を素早く補うことができるので、半導体工場などに設置されています。また、パソコンのバックアップ電源、瞬時に大きい電力を必要とするクレーンなどに使用したりすることができます。活性炭は水処理、空気清浄など様々な用途に使用できます。そのため、お客様のご要望に合わせた様々な性能の活性炭のサンプルをご提供し、製品化していきたいと考えております。

ご興味のある方は、
静岡工業技術研究所浜松工業技術支援センター

TEL:053-428-4156

までご連絡いただけますと幸いです。


(敬称略)

電気二重層キャパシタEDLCの応用分野 蓄電能力の比較 コーヒーかすの活性炭の穴 コーヒーかす活性炭シート状にして使用

(取材者:平成28年入社 総務部 広報担当 日高)