伊豆半島ジオパークから教わる自然環境の面白さ

ジオリアにて

伊豆半島ジオパーク推進協議会とは


伊豆半島ジオパーク推進協議会事務局専任研究員博士 新名阿津子さん

伊豆半島ジオパークとは?

新名:当協議会は、伊豆、三島、沼津などの15市町村および関連団体、交通事業者等の民間団体により構成されています。ジオパークのインフラの整備や環境保全活動、教育や観光振興をしています。
 今の美しい伊豆の自然環境を残す為にも持続可能な開発の目標達成に向け、地域のみなさんが主体となるように当協議会がサポートしながら様々な方法で伊豆を知り、守り、伝える活動をします。ジオパークの魅力ある地を「ジオサイト」として紹介するだけでなく学術調査もしています。

なぜ世界認定されたのか?

新名:世界審査でユネスコが定める基準をクリアすることにより認定されました。まず地質学的にも価値があり、世界的にも誇れるものかを評価されます。次に、明瞭に境界を定められた地域であるか、運営・管理団体がしっかりできているか等をクリアすることが求められます。

伊豆半島の成り立ちは?

新名:現在の伊豆は元々日本から遠く離れた南の海にあった海底火山でした。海底火山は2000万年前頃に始まり、フィリピン海プレートに乗って噴火を繰り返しながら北に移動していきました。220万年前頃には伊豆と本州の衝突が始まり、伊豆全体が隆起し、半島の原型が作られました。およそ60万年前には伊豆は本州と地続きの半島になり、衝突された本州側には丹沢山地や足柄山地が出来上がり、伊豆半島が誕生しました。(※図1)
 1,100万年前以降、日本の寒冷化によって絶滅したはずのレピドシクリナ(※図2)が伊豆半島の同時代の地層から化石となって発見されたことから、当時伊豆半島が南洋の暖かい海に位置していたことがわかります。
 このように半島が衝突してできた例は世界ではインドのユーラシア大陸への衝突があります。

伊豆半島ジオパークの見どころは?

新名:伊豆半島の地層、気候、食物など様々なものから多くの発見を得ることができます。
 例えば、地層を見ることによって、どの時代の地層であるのかを知る面白さがあります。上と下の地層に色の違いがあります。(※図3)上の層は火山が噴火し、酸化して赤くなった層で陸の時代にできたものです。しかし、下の層は海底の中で噴火したため、酸化せずに火山灰などが固まったものです。
 また、食べ物から見ると、天城は伊豆の中でも降水量が多いことから、ブナ林など原生林を残し、綺麗な水でしか育たないわさび沢を作りだしています。伊豆半島の周りには、沈み込んだプレートの境界があるため、水深が深く、金目鯛やタカアシガニなど深海魚がすぐに採れるため新鮮なものを食べることができます。
 文学からも伊豆の自然を感じることができます。夏目漱石や川端康成などの近代文学者が伊豆に滞在しました。彼らが伊豆の自然や環境からどういうインスピレーションを受けたのかを彼らの文学作品やエッセイ等から知ることができ、伊豆を日本全国に広めるきっかけになりました。文学者たちにとって関わり深い伊豆の地を作品を通して楽しむ事が出来ます。

今後の展望は?

新名:地球について楽しく学び、気づいたら知識として身についているのが理想です。更に文化や芸術などを取り入れて伊豆半島ならではの良さを案内していきたいと思います。
 4年に1度ジオパークの再審査があるので、今よりさらに良くするために、世界のジオパークと共有し、一緒に考えてワークショップを開催したり、国際会議などで議論したりしながらアイディアを発想していき、伊豆半島が世界に並べるようにパフォーマンスを上げていきたいです。お互いが各々のジオパークを紹介し合いどういったガイドをすると面白いのか、研究者としては文化のつなぎ方をどのようにするかを議論することもしていきたいと思います。さらに、海外からの方々も多く来ていただけるように英語での情報の充実を強化しインバウンド対応をしていきたいと思います。(敬称略)

伊豆半島の誕生 伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」内の展示物

(取材者:平成28年入社 総務部 広報担当 日高)